【ドバイ最前線】ドウデュースが帰ってきた! 昨年レース前日取り消しの悔しさ晴らす/連載

ドバイターフに向けて追い切られたドウデュース(撮影・桑原幹久)

<ドバイ最前線(3)>

【UAE(ドバイ)=27日】リベンジの時が来た。海外初取材の東京・桑原幹久記者が担当する「ドバイ最前線」第3回は、ドバイターフ参戦へ2年連続遠征のドウデュース(牡5、友道)を取り上げる。

昨年はレース前日に左前肢ハ行で出走取り消し。悔しさを晴らすべく、この日の追い切りでは抜群の動きを披露。メイダン競馬場で動きを追った友道康夫調教師(60)も太鼓判を押した。

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夜明け前の午前5時。15人ほどのカメラマンに紛れ、追い切り撮影に挑んだ。プロ仕様のカメラの設定に悪戦苦闘していると「ドウデュースが来たぞ」と声が飛んだ。芝コースにレンズを向けると、はるか遠くの馬体が徐々に迫り来る。ゴール手前でシャッターを切ったが、他馬とは異なる想像以上のスピード感に思わず「はやっ」と声が漏れた。すぐにデータを確認。ゴール後に鞍上の前川助手が笑みを浮かべ、左手でぽんと首筋をたたいていた。

文句のない出来だ。記者とほぼ同位置で双眼鏡をのぞいた友道師も「こっちの計測ではラスト1ハロン10秒台が出たみたい。見ているよりも速かったし、無理していないのですごく具合がいいと思います」と納得の表情。「何より心配だった獣医師検査も一発で受かりましたよ。『This year is OK』って言われてね」と、あの日の悔しさを1つ、笑顔で吹き飛ばした。

1年前はまさかの結末だった。レース当週の月曜、ドバイへ向かおうと自宅を出た直後、現地から「歩様がおかしい」と連絡が入った。不安を抱えつつ翌朝現地で様子を見ると、状況は好転。最終追い切りは15-15程度で万全を期した。だが追い切り後の獣医師検査でNGを突きつけられた。本番前日にやむなく出走取り消しを発表。「あれからもう1年かってね。早かったですよね。去年ドバイから帰る時は来年また来ようと思ったので、前走でいい結果を出して帰ってこられてよかった」。言葉に並々ならぬ闘志がにじんでいた。

今回が5歳初戦。「今日も周りの馬を見て鳴いていたし、それほど変わってません」と笑いつつ「体は幅が出てきて貫禄が出てきた。体はマイラーですよ」と見立てを口にする。ダービー、有馬記念を制しているだけに2410メートルのシーマCも選択肢にあったが「豊ジョッキーは千八の方が乗りやすいと。シーマは隊列のまま決まりやすいけど、ターフは差しが決まるので」と狙いを定めた。

共同記者会見では海外メディアから「イクイノックスに勝った数少ない馬だが?」との質問も飛んだ。「種馬になったイクイノックスの価値もドバイの結果でいっそう上がると思うので、イクイノックスのためにも負けられないですよね」と世界一の同期と張り合ったプライドを強調。「去年より硬い」との声も聞こえる芝の状態も後押しに、今年こそ会心の走りが見られそうだ。(つづく)

▼まさかの場外戦!? ドバイターフで4連覇を狙うロードノースとG1・3勝のナシュワを、父J・ゴスデン師とともに送り出すT・ゴスデン師が共同会見に出席。「ロードノースはこれまでと同じような過程で問題なく来られているのでいい勝負になれば。ナシュワは千六から二千で勝っているから千八も大丈夫」と自信を見せた。会見後は自身の直前に会見に出席していた友道師と初対面。「日本馬は…逆に教えてほしい」と苦笑いしていたが、笑顔で握手を交わし記念撮影で互いの健闘を誓い合った。