2年前(22年)のケンタッキーダービー、補欠からの繰り上がり出走だったリッチストライクが大穴を開けたときのことだ。
直後に携帯電話へメッセージが届いた。送り主は知り合いのブラッドストックエージェント。「この馬の血統(牝系)、もう日本に入ってきているよ」。
調べてみると、なるほど。リッチストライクの半姉ラナモン(カナダのG2ナタルマS覇者)は社台コーポレーション白老ファームで繁殖牝馬になっていて、すでに持ち込み馬、バハルダール(父パイオニアオブザナイル)を生んでいた(※土曜京都の平安Sに出走)
昨年(23年)はメイジがケンタッキーダービーを制覇。今年、その全弟ドーノックが全兄弟制覇に挑んだ(結果は10着)。メイジが落札された22年5月のファシグティプトン社のセールのカタログを見てみると、母プーカの半弟にモズプラチナ(父オナーコード)という名前がある(※現在は名古屋競馬に所属し、16日の草笛特別で2着)。
今年のケンタッキーダービーは伏兵ミスティックダンが制した。
2着シエラレオーネと3着フォーエバーヤング(牡3、矢作)はともにダーリンマイダーリンという牝馬を祖母に持つ、人間でいう「いとこ」の関係。3代母ローミンレイチェルが日本の年度代表馬ゼンノロブロイの母であることも米国では報じられていた。
レース前、藤沢先生(和雄元調教師)に連絡すると、フォーエバーヤングとシエラレオーネのことはもうご存じだった。「2頭いるんだってね。ロブロイはいい血統だったんだよ。このローミンレイチェルの血統は日本のいろんな牧場に入ってきているからね」と。
白老ファームはローミンレイチェルの血統からタガノエリザベート、キャットコイン、ワンブレスアウェイ、ロックディスタウンなど他にも重賞ウイナーを生産。4月に阪神ダート1800メートルの未勝利戦を勝ったタクシンイメル(牝3、武英)という馬は祖母がダーリンマイダーリンだ(生産者は前谷武志氏)。千代田牧場ではローミンレイチェルの全妹ハローレイチェルの血を引く馬たちが活躍している。
で、今年のケンタッキーダービーを制したミスティックダンは…。レース翌日、その血統を紹介する現地米国メディアの記事を読んでいると、近親のG1馬として紹介されていたのが、ララアだった(ミスティックダンの母マアムのいとこがララアという関係)。
ララアは09年に社台ファームがファシグティプトン社のセールで落札(85万ドル)。来日し、マーメイドSで姉妹制覇を果たしたサラス、シャムロックヒルを生んでいる。土曜東京3R(未勝利、ダート2100メートル)を走るウェックスフォード(牡3、高木)もララアの子だ。
今年は2頭の日本馬がケンタッキーダービーに出走し、その走りで多くのファン、関係者を感動させ、勇気を与えてくれた。それだけではない。日本馬がケンタッキーダービーのような海外の大レースに遠征することは「日本の生産者がさまざまな血統(牝系)に目を付け、日本へ導入していることを知る機会」も与えてくれている、と個人的には思っている。
【競馬デスク@大阪中之島】