メジロドーベル(牝30)は今も現役だ-。かつてのメジロ牧場(現レイクヴィラファーム)にある放牧地で功労馬として過ごす日々。97年オークスなどG1・5勝を挙げた名牝は生まれたばかりの当歳馬たちを見守り、その活躍を支えている。
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今年で30歳を迎えたメジロドーベルを、北海道洞爺湖町のレイクヴィラファームに訪ねた。爽やかな風と夏の日差しを気持ち良さそうに浴び、広々とした放牧地で黙々と草をはむ。そして時々、子馬の遊び相手になっている。一緒に放牧されているのは、今年生まれた当歳馬とその母馬たち。リードホースとして、10組以上のお守り役を担っている。「普通の馬なら隠居する年齢なのですが、元気にリードホースを務めています。生きがいなのかもしれませんね」と牧場スタッフの的野裕紀子さんは目を細める。母子が一緒にいる時は近づかないが、子供には好かれるという。「優しいおばさんという感じですね」。
ライトバックの半妹(父インディチャンプ)とはとりわけ仲が良く、この日もしばらく戯れていた。体をくっつけ合って、お互いの背中や尻尾を甘がみする。母親のインザスポットライトは少し離れたところで安心して草を食べている。母にとっては育児から少し解放される時間。今年の桜花賞3着、オークス3着と奮闘したライトバック(父キズナ)も同じ放牧地で育ったので、やはりドーベルと長い時間を過ごした。偉大なる功労馬から得るものは、決して少なくないだろう。
長寿の秘密は丈夫な内臓と四肢にあるようだ。「ご飯は全部食べますね。夜間放牧を始めると体重が増えます。ツメが痛いとか、脚が痛いとかが一切ありません。病気をしないし、本当に手がかかりません」。
馬には優しいが、人にはよく怒る。はっきり自己主張する性格もまた魅力だ。「嫌なことは嫌と伝えてきますね。馬服とかは嫌がります。体を触られるのも嫌。以前、函館競馬場でお披露目があった時に体を洗ったのですが、その時も怒っていました。あと、群れが好きなので、群れから離れるとピーピー鳴きます。疲れを取るために1日馬房で休ませたら、一晩中鳴いていましたね」。スタッフも気持ちをくんで、敬意を持って接する。何しろ、牧場の守り神なのだ。
秋までに母親たちは順番に違う放牧地に出される。いわゆる離乳で、最後は子供たちとドーベルだけになる。いるだけで不安を和らげてくれる存在。いつまでも元気で長生きしてほしい。【岡山俊明】(取材は7月2日)
◆メジロドーベル 1994年5月6日、メジロ牧場(北海道伊達市)で生まれる。父メジロライアン、母メジロビューティー(母父パーソロン)。馬主はメジロ商事。美浦・大久保洋吉厩舎から96年にデビュー。99年の引退まで21戦10勝、うちG1・5勝を挙げた。全て吉田豊騎手が手綱を取った。主な勝ち鞍は96年阪神3歳S(G1)、97年オークス(G1)オールカマー(G2)秋華賞(G1)、98年府中牝馬S(当時G3)エリザベス女王杯(G1)、99年エリザベス女王杯(G1)
◆メジロドーベルの同期 牡馬クラシックの皐月賞、ダービーはサニーブライアン、菊花賞はマチカネフクキタルが制した。牝馬3冠は桜花賞をキョウエイマーチ、オークス、秋華賞をメジロドーベル。NHKマイルCはシーキングザパールが制した。