【馬産地便り】大事な仲間と兄への思い…ブローザホーン祝勝会で響いた岡田牧雄さんの言葉

左から岡田牧雄氏、吉田勝己氏、下河辺俊行氏(2024年7月27日撮影)

先週の土曜日(27日)、札幌市内のホテルで宝塚記念を勝ったブローザホーン(牡5、吉岡)の祝勝会が行われ、岡田牧雄オーナーにお招きいただき、出席させてもらいました。私自身はホッカイドウ競馬(門別)の担当記者をしていて、日頃からマキオ(牧雄)さんに学ばせてもらうことばかり。この日のあいさつからはG1制覇の喜びの気持ちとともに、「いろんなことを学んで背中を追いかけてきた」と話す仲間の生産者や、亡くなった兄の繁幸さんへのあふれる思いが伝わってきました。

 

「吉田勝己さん(ノーザンファーム代表)はデアリングタクトで3冠(20年の牝馬3冠)を取ったときも一番最初に電話をくれて、『エピファネイア、すごいな、すごいな』って…、エピファネイアの話ばっかりで…。『あれ、おめでとうって言われなかったよなあ』って。タイトルホルダーが勝ったら、今度は『タイトルホルダー、すごいな。すごいな。(その父の)ドゥラメンテの時代だな』って。『また、おめでとう言われてないな』って。だから、今日は(祝勝会の)乾杯(の発声)を勝己さんにやってもらって、『おめでとう』というお言葉を頂戴したいなって」。マキオさんの言葉に列席した競馬関係者からドッと笑いが起きます。

 

「下河辺(俊行)さんからもタイトルホルダーが3冠(菊花賞と天皇賞・春と宝塚記念)を取って、種馬になるっていうときにすごく…、『繁幸ちゃんがね、兄貴がやりたかったことをあなたはやったな、よかったな、すごいな』っていう声を掛けていただいて…、すごくうれしかった。その兄貴(牧雄氏の兄の繁幸氏)もデアリングタクトで桜花賞を取ったときに電話を寄越して、あの…、『うちのファミリーで初めて3歳クラシックを取った。だから、親父(蔚男さん)に俺の方から代表して線香上げて報告しとくからな』と言われて…、あまり兄貴とそういう話しをしたことがないので、ちょっと、『ああ、いいことをしたんだな』とおもって、そのあと、兄貴が亡くなって、何か月もしないうちにオークスを取っちゃったんでね(21年オークスをビッグレッドファーム生産のユーバーレーベンが勝利)…、もう何か月か我慢をすれば、自分(繁幸さん)も3歳クラシックを取ったのになあ、って思いながら」。

 

「吉田照哉さん(社台ファーム代表)にも…。こないだブローザホーンで勝ったときにたまたま、私は競馬場に行かないタイプなんですが、娘にせがまれて、京都競馬場まで行って、宝塚記念を見ていて、勝って、周りの人に『おめでとう、おめでとう』と言われて、いいものだなあ、と思っていたら、人をかきわけるように吉田照哉さんが来て、『おめでとう、おめでとう』と握手してくれまして…。そのときは2着、3着の馬がわからなかったのですけど、あとで考えたら、自分の馬が2着、3着(生産馬のソールオリエンス、ベラジオオペラ)にいて、わざわざ人をかきわけて握手してくれるというのは、『自分が逆の立場だったら、絶対にできないな』って思って。そう考えると、『なかなかこういう人にはもう、生涯勝てることはないんだな』というあきらめの気持ちと、一方で『そんな人間関係の中に入ることができて、自分は楽しいことがあるなあ』と。いろいろな方に交わっていただいて、勉強させていただいて、今日の自分があると思っています」。岡田牧雄さんの言葉を聞きながら、情熱あるホースマンたちを取材することができる幸せを自分も感じることができました。【奥村晶治】