【アジア競馬会議1】ARFブレスゲス会長が語る競馬の現状と未来へのヒント

アジア競馬会議のロゴモニュメント

8月27日から9月1日にかけて、第40回アジア競馬会議(ARC)が行われた。

8月27日に開会式が行われ、同28日からの3日間のビジネスセッションでは、主に9つのテーマが語られた。今回のARCのスローガンは「Be Connected, Stride Together(つながろう、ともに歩もう)」。08年以来、16年ぶりの日本開催は初めて札幌が開催地に選ばれた。北海道は国内の約98%の競走馬が生産される馬産地。人と馬のつながりを軸に、議論が展開された。全ての講演に出席した松田直樹記者がARCで聞いたこと、感じたことをリポートする。(全10回)

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ビジネスセッション初日となった28日の基調講演には、アジア競馬連盟(ARF)会長のウインフリート・エンゲルブレヒト=ブレスゲス氏が登壇。40の国と地域、団体から競馬関係者約800人が集まる会議の冒頭で競馬の現状を示した。競馬の社会性の確保、違法賭事への対応、持続可能性への取り組みなどを最重要課題に挙げた。

ブレスゲス氏はコロナ禍で激減した各国の売り上げは、多くの国で21年以降に上昇トレンドに乗り、高い水準に達したことをグラフを踏まえて説明した。だが、ここには懸念材料も含まれる。好調だった数字は長続きせず、緩やかに下降線をたどり始めた。セリでの購買価格は南アの前年比30%超増を筆頭に堅調な国が多いが、各国の賞金増を支えた馬券売り上げが減少。22ー23シーズンの豪は前期比10%減、23-24シーズンの香港は同4・6%減などが例に挙がった。

考えられる理由はさまざまある。コロナ禍の巣ごもり需要の減少、人々の行動ベースの変化、規制強化、参加者の高齢化、競合するスポーツベッティングのシェア増大、そして違法賭事の拡大…。ブレスゲス氏は「産業の分断が大きな障害。グローバルに考えないといけない」と訴え、「国を越えて一緒に行動することが必要だ」と協調を促した。

各国が逆風にさらされる中、JRAは売り上げを伸ばし続ける。ブレスゲス氏は「スポーツとしての位置付けが大事。日本がその好例だ」と述べた。97年の4兆円超えを最後に馬券の売り上げが減少を始めたが、東日本大震災のあった11年に底を打ってからは毎年、前年比増を続けている。香港馬ロマンチックウォリアーが勝った今年の安田記念。日本初参戦の勝者をたたえる多くのファンの姿に、同氏は感銘を受けたという。「ファンがジョッキーや競走馬をヒーローとしてみている」。ここに競馬の未来へのヒントが隠されていると示唆していた。

■アジア競馬会議(Asian Racing Conference)

アジア諸国間の親善と相互理解の促進、および加盟国間の競馬交流を目的として、日本の提唱により創設された国際会議。第1回は1960年に東京で開催。今回は08年以来、16年ぶりの日本開催。過去4回は全て東京で議論が交わされ、今回は初の札幌開催となった。40の国と地域、団体から約800人の競馬関係者が出席した。