【シャンティイ(フランス)2日=太田尚樹】すべてが「想像以上」だ。日本代表シンエンペラー(牡3、矢作)が2日、凱旋門賞(G1、芝2400メートル、6日=パリロンシャン)に向けてラモルレー調教場のダートで追い切られた。余力十分でパワルフな走りを披露。携わる者すべてを驚かせる上昇と適性を見せ、欧州の高く厚い壁に挑む。
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冷たい秋雨にぬれるシャンティイの緑に、日の丸を思わせる紅白の馬服が躍った。栗色の筋肉を艶めかせ、シンエンペラーが砂を蹴る。帯同馬ラファミリア(3歳1勝クラス)を前方に置き、あえて並ぶことも抜くこともなくフィニッシュ。4ハロンの追い切りを余力十分に駆け抜けた。下馬した岡助手が声を弾ませて感触を伝えた。
「1週前の時点で仕上がりも問題なかったので息を整えて疲れを残さない程度。余裕がありすぎるぐらい。やれることをやって、思っている以上に、可能な限り良くなってくれた」
いつだって予想を超えてくる。前走の愛チャンピオンSでは、矢作師いわく「7~8割がいいところ」の状態で3着に好走。坂井騎手も「想像以上の走り。うれしい誤算でしたね」と驚いた。道悪への適性も同様だ。先週27日の1週前追い切りでは、エーグル調教場のぬかるんだ芝コースで、併走馬を見えなくなるほどまで突き放した。滞在先の清水師からも「エーグルの芝の方が(パリロンシャンより)粘っこくてパワーがいる。馬場も問題ないと思う」と太鼓判を押された。
日々の1歩が上積みになる。調教コースへ向かう馬道においても、日本のトレセンと比べて砂が深く傾斜が大きい。担当の吉田助手は「負荷が違う。それが(良化に)つながっているのかも。こんなに良くなるとは思っていなかった」と効果を実感している。
だからこそ、最終追い切りではオーバーワークを避けた。過去の日本勢に比べると派手なパフォーマンスではなかったが、岡助手は「こちらが思う以上に負荷が掛かっているので、やりすぎないように。今までとは違う新たな試みかもしれないけど、いい方に出ると願って」と説明した。最善の手を尽くし、本番まであと3日。人知を超える「新皇帝」なら、欧州最高峰も越えてくれそうだ。