【栗東便り】急死アイアンバローズを悼む、上村師「厩舎の成長を支えてくれた功労馬」

アイアンバローズを撫でる上村洋行師(左)と上村典久助手(2021年撮影)

別れは突然だった。

23年のステイヤーズSを制するなど長距離戦線で活躍したアイアンバローズ(牡)の訃報が届いた。

8歳の今年も現役続行を目指していたが、放牧先で調教中に急死したという。ファンの多かった個性派で、僕としても思い入れが深いオルフェーヴルの産駒として気にかけていた1頭。管理していた上村洋行調教師(51)に思いを取材した。

「いろいろ手を焼かせてくれたけど、今となってはかわいかったですね。残念です。寒い時季だし、トレセンでもよくあることなので仕方ないですけどね」

19年7月のデビュー時は角居厩舎に在籍していた。かつて角居勝彦元調教師にも「調教でも抑えきれず乗り難しい面があって苦労しました」と聞いたことがある。やはりオルフェーヴル譲りの気性なのか…。見た目は似ていなかったが、親子の姿を重ねて見ていた。

21年3月に角居厩舎が解散すると、担当していた兄の上村典久調教助手とともに転厩してきた。やんちゃな性格を兄弟でなだめ、15度目の重賞挑戦となった6歳12月のステイヤーズSで念願のタイトルを手にした。鞍上は石橋脩騎手。12年の天皇賞・春でビートブラックを駆ってオルフェーヴルを負かしたジョッキーだけに、因縁めいた巡り合わせに胸を躍らせたファンも多かったようだ。

半弟のジャスティンパレスとの対決も注目された。23年の天皇賞・春(13着)では弟のG1制覇を見届ける形になった。半兄は米ベルモントS覇者で種牡馬として日本へ輸入されたパレスマリス。血統背景は超一流だけに、もしかしたら種牡馬になるチャンスもあったかもしれない。

「開業3年目からウチに来て、厩舎の成長を支えてくれた功労馬ですね」

右肩上がりで勝ち星を増やす上村厩舎は、昨年に大阪杯(ベラジオオペラ)と阪神JF(アルマヴェローチェ)で初制覇を含むG1・2勝を果たし、JRA43勝で全国7位まで躍進した。苦楽をともにしたかつての看板馬との経験は、これからも生き続けるに違いない。【太田尚樹】