<追い切りの番人>
今年最初のJRA・G1、フェブラリーS(ダート1600メートル、23日=東京)の最終追い切りが19日、東西トレセンで行われた。
注目馬の追い切りを掘り下げる「追い切りの番人」は、大阪・岡本光男記者が、サンライズジパング(牡4、音無)をチェックした。来月4日で定年引退する音無秀孝師(70)が送り出す3頭の中のエース格。坂路4ハロン51秒4-12秒4の「強度」と「ペース」の意図を解き明かす。
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近年の追い切りは1週前にハードに追われ、当週はソフトに済ませるのが定番だ。たとえば今回のエンペラーワケアは12日の1週前は坂路で4ハロン50秒0だったが、当週は同53秒6だった。
だが、サンライズジパングはレース週に攻めてきた。雪がちらつく午前7時8分の坂路。新コンビの幸騎手を背にスタート地点を通過すると、すぐ勢いに乗る。「最初からしっかりやってほしいと言われた」と鞍上が明かした通り、僚馬のデルマソトガケを後ろに従えて加速していく。いったん並ばれたものの、最後も馬なりのままスルスルと伸びて2馬身先着した。
先週の時計は4ハロン53秒7だったが、この日は51秒4と数ランク強度をアップ。その意図を担当の平井助手は「マイルの流れに対応するため、テンからやってもらった」と説明する。
ダート重賞で2勝、2着2回、3着1回と輝かしい実績を誇るジパングだが、その距離は1800~2000メートルだった。「本来は2000メートルの馬。前走(プロキオンS)は1800メートルで行きっぷりが悪かった」と音無師は見立てる。さらに1ハロン短縮されるとなると、追走に苦労しかねない。その対策を兼ねての調教だが「手応えに余裕があり、動きは良かった」と幸騎手は合格点を出した。
さらにもう1つ、ハードトレには狙いがあった。平井助手は「これまでは毎回90%台のイメージで仕上げてきた」と振り返る。若駒だけに、成長を促すためにも余裕を残してきた。だが、「今回は最後なので100%に近づける」。
“最後”とは、言うまでもなく音無厩舎所属としてのラストラン。「先生の引退に花を添える」ための渾身(こんしん)の仕上げだ。トレーナー自身も「勝つつもりで挑む」と静かに燃えている。そのための準備は整いつつある。【岡本光男】
◆岡本の目 パワフルな走りをする印象の馬だが、今回は思いのほか素軽く見えた。それだけ、しっかりと仕上げられている。
<音無師 一問一答>
-プロキオンSは2着
1800メートルだったが道中の行きっぷりが悪く、ハナに行っている馬(サンデーファンデー)に残られた。だが、さらさらの馬場で逃げ馬に有利だったのに、差してきたのは立派。
-サウジアラビアのレッドシーターフHに遠征の予定もあった
最後はオーナーがフェブラリーS参戦を決断した。ダートを中心に戦ってきた馬だから。
-最終追い切りの動きは
ゴール前で仕掛けたが動きは良かった。
-距離はマイルになるが
1800メートルで行きっぷりが悪かったのは、周回コースで1、2コーナーの行きっぷりが悪いからかもしれない。ワンターンが合う可能性がある。
◆最年長調教師V 3頭出しで挑む音無師はフェブラリーS当日の年齢が「70歳8カ月14日」。管理馬が勝てば、00年にウイングアローで制した工藤嘉見元師の「70歳3カ月16日」を抜いて、97年G1昇格後のフェブラリーS最年長勝利となる。