<ドバイ最前線>
ドバイ国際競走が4月5日に行われる。2年連続で現地入りする東京・桑原幹久記者が今年も連載「ドバイ最前線」をスタート。第1回は2年前のドバイワールドC覇者ウシュバテソーロ(牡8、高木)に注目する。サウジC3着をへて、今回がラストラン。放牧先の場長を務め、実際に背中を知る了徳寺健二ホールディングス(株)の広瀬祥吾副社長(34)に話を聞いた。
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時の流れは早い。海外初取材から1年。今年もドバイ出張を拝命した。主役は文句なしでフォーエバーヤング。ただ、藤田晋オーナーにライバルを聞いた際「ウシュバテソーロが突っ込んできたら怖いですよね」との答えが耳に残った。その余韻が消えぬ間に「テソーロ軍団」の中枢、広瀬副社長を直撃した。
「サウジよりドバイの方が間違いなくいいですよ」
冒頭から威勢のいい言葉が飛んだ。前走サウジCは定石通り大外一気で3着。上位2頭と10馬身以上差はあったが、自慢の末脚は繰り出せた。
「上がりは最速で、らしい競馬でしたね。1回使って(東京大賞典4着)調子が上がっていましたし、3着だけど納得のいく内容でした」
“水を得た魚”のように、中東は居心地がいい。
「サウジ、ドバイに行くと馬体の張りや調教の時のメンタルがすごくいいです。アメリカでは明るい時間の調教で頭数も多くて物見しますけど、ドバイは暗い時間で少頭数。集中力も高まって、調教がしやすいです。前走後からさらに馬体に張りが出てきました」
昨年の米国遠征後、サウジ→ドバイ連戦での現役引退が公表された。
「最後だと思って調整したら、人も馬も変なプレッシャーになりますからね。いつもと変わらずです」
放牧先のチェスナットファーム阿見トレセンでの調整中は、場長を務める広瀬副社長が常にまたがった。
「砂をかく感じ、ばねがすごいです。ギアが入った時のスピードがとにかく違います」
ダート転向は5歳春。タイムリーな転機だった。
「以前は薄さがありましたけど、ダートに替えようというところで筋肉量が増えてすごく幅が出てきました。タイミングがはまりましたね」
パドックで首をだらっと下げて歩いたり、追い切り前に帰路へ向かったり。海外メディアから「怠惰な労働者」と評されるほどの個性にファンも魅了された。
「牧場では本当に扱いやすいですよ。馬房でもえさを食べる時以外は本当におとなしいです。あと、洗い場ではずっと空を見ているんですよね。他の馬は脚元を見て何かを踏んだりしてますけど、ウシュバはずっと空を見てる。観点が違いますね」
視線の向こうには何が見えるのか。何を思うのか。
「競馬はゲートが開いてみないと分からない。勝てば出来過ぎですけど、最後はいい形で終われるのが理想です。もう1度トロフィーを持ちたい? それはやまやまですよ(笑い)」
主役のライバルに不足なし。わくわくドキドキ。はやる気持ちを抑えながら、今年も砂の国へ飛び立つ。(つづく)
◆広瀬祥吾(ひろせ・しょうご)1990年(平2)11月20日生まれ。チェスナットファーム(北海道浦河町)広瀬亨代表の次男。小学時代から乗馬を始め、専大時代の09年全日本総合馬術大会で4位。了徳寺健二ホールディングス副社長。チェスナットファーム阿見トレーニングセンター場長。
◆23年ドバイワールドC・VTR
海外初遠征だったウシュバテソーロが、豪快に差し切り海外G1初制覇を飾った。序盤は最後方を追走。3角から外を回って上昇し、直線は大外から鋭く加速した。先に抜け出したアルジールスを一気にかわすと残り100メートルは完全な独走。2着に2馬身3/4差をつける完勝だった。日本勢は12年ぶりのV。ヴィクトワールピサが制した11年はオールウエザーでの開催で、ダートでは日本馬初となる歴史的な1勝となった。