<こんな人>
<ダービー>◇1日=東京◇G1◇芝2400メートル◇3歳牡牝◇出走18頭
1番人気クロワデュノール(牡、斉藤崇)が勝利した。好位から堂々と抜け出し、王座に返り咲いた。北村友一騎手(38)は大けがを乗り越え、デビュー20年目で念願のダービー初制覇となった。
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「競馬学校時代から同期の中では、センスのいい騎手でした。馬乗りが上手ですよね。バランスだったり、感性だったり、ずばぬけていました。その上向上心も持ち続けていたので、常に勉強熱心。流されず、芯の強い人ですよね」。
クロワデュノールでダービージョッキーとなった北村友一騎手と競馬学校時代の同期である田中博康調教師は、そのセンスの高さに一目置いていた。巧みな技術に裏打ちされていたのは、真面目な性格だった。
また、同じく同期の千葉直人師も「彼に関してはレベルが違うな、と思って見ていました。めちゃくちゃ上手でした。馬の邪魔をせず、あたりの柔らかさは天性のものだと思います。普段は割とおっとりしているタイプ。その性格が騎乗にも表れていましたね」と絶賛していた。
同期の誰もが認めるセンスの持ち主で、これまでG1タイトルも獲得。そしてついに、ダービージョッキーの称号を手にした。「経験、年数を重ねて、柔らかさに磨きがかかっていると思いましたし、その部分に自分を主張していくこともできるようになっている。どんどん進化していますよね」と田中博師は目を細める。
しかし、落馬による大きな事故もあり、苦しい日々も続いた。その辛さから、ホープフルSの勝利騎手インタビューでは涙も見せた。
田中博師は「へっちゃらだとは思いませんでしたが、軸を持っている人だから、努力を続けられたと思います。その姿を見てくれている人は見てくれていたのでしょうね」と復活劇を分析していた。
最近は一緒に食事へ行き、北村友騎手が相当なプレッシャーを感じている旨を伝えられたという。「前向きにとらえて、ダービージョッキーになって欲しい」。田中博師は願っていた。千葉師は「同期とダービーで戦えることが楽しみ。敵にはなりますが、同期がダービージョッキーになることは、本当にうれしいので、ベストを尽くして欲しい」と戦前に話していた。
同期の星が数々の困難を経て、つかみ取ったダービージョッキーの座。今日のレース後に見せたのは、涙ではなくとびきりの笑顔だった。【深田雄智】