水口優也騎手、最後の2日間「人生の財産。短かったけれど中身の濃い16年」今月限りでムチ置く

今週末の現役最後のレースを前に取材に応じる水口騎手

<夏のイチ押し>

今夏も各記者推奨の人馬を取り上げる「夏のイチ押し」がスタート! 初回は下村琴葉(ことは)記者が、今週日曜小倉でラストライドを迎える水口優也騎手(34=池江)の胸の内に迫った。5月に引退を決断し、今後は乗馬クラブでセカンドキャリアを進める予定。最後の1鞍まで全力を尽くす。

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馬にまたがり調教をつけ、迎える厩舎スタッフに感触を伝える。16年続けてきた調教日の仕事も、きょう金曜で最後。池江厩舎の服に身を包む水口騎手は木曜朝、普段と変わらない様子で応えた。

「気持ちとしては先週と変わらず、普通の競馬の1週間の流れ。同じモチベーションでやっています」

昨年の夏に今後の進路を考えた。調教師や調教助手などいろんな選択肢を考え、今年5月に引退を決断。今月限りでムチを置く。「次のセカンドキャリアに向けての引退。この経験を人生の財産としてみています。騎手人生は短かったと思うけど、中身の濃い16年でした。かっこいい仕事をさせてもらいました」。その口ぶりに未練はない。

この後は金沢の乗馬クラブで人材育成の勉強をするという。「競馬自体は注目されていますが、ジョッキー、調教師、厩務員、装蹄師、獣医師とか馬に対しての周知は進んでないのかなと思います」。ジョッキーとは違う形で馬産業に貢献していく心構えだ。

最後の実戦騎乗となる小倉では土日で計6鞍に乗る。日曜10Rの西部日刊スポーツ杯では、新馬戦で勝利に導いて以来ずっとコンビを組むハリーケーンで挑む。「先行力もあるので距離が持てばチャンスもあると思います」と話す。同12Rは京都ホースレーシング所有のオリエンタルキングで締めくくる。11番人気を覆して2着に入った3走前以来のタッグ。「(オーナーが)懇意にしてくださっていて『最終で』と任せてもらいました。力が入ります。2着だった時のいいイメージで乗れれば」と静かに闘志を燃やす。

ステッキを置けば、次のステージが待っている。騎手人生を締めくくる2日間。ただ前を向いて、最後まで全力を尽くす。【下村琴葉】

 

◆水口優也(みずぐち・ゆうや)1991年(平3)3月22日、茨城県出身。10年3月に美浦から中山でデビューし、同年6月27日福島で初勝利。12年7月に栗東へ移籍。JRA通算2684戦84勝。163センチ、51キロ。