【美浦便り】実は泣いてません!女性ルーキー谷原柚希騎手が悔しい2着を振り返りました

JRA初勝利を目指し奮闘している女性ルーキーの谷原騎手は笑顔でガッツポーズ(撮影・桑原幹久)

“悔し涙”の真相は…。

約2週間前の6月22日、東京7Rで女性ルーキーの谷原柚希騎手(18=伊藤圭)が自厩舎の8番人気タマモカンパネラ(牝3)に騎乗し、首差の2着。3月のデビューから22戦目で初の馬券圏内に入りました。レースは外枠から中団へ。直線は先に抜けだした2頭を粘り強く追いかけ、3着馬をかわしたところがゴール。現地にいた記者は別件でレース直後の取材に行けませんでしたが、周囲から「悔し涙を流していた」との声も…。後日談を聞こうと、調教後の厩舎でお時間をいただきました。

「いろいろな方に聞かれますが、私、全く泣いてないんですよ。正直ゴールした時は勝ったか負けたかわからなくて、検量室前に帰ってきてからやっぱり2着かと…。めちゃくちゃ悔しかったです。ただ、負けて泣くのは嫌ですし、そういうキャラでもないので(笑い)。汗を何度もぬぐっていたので、そう見えたのかもしれないですね」

結論から言えば“悔し涙”はありませんでした。ただ、これまでにない悔しさが込み上げてきたことは事実。競馬場に来場していた競馬学校2年の弟圭大くんからは「なんで勝てないんだよ」と突っ込まれたそうです。

「じりじりと伸びている分、直線が本当に長かったです。もっと自分が冷静に追えていれば、馬の邪魔をせずに動かせたかなと思います。担当の方もすごく手をかけてくださって状態がよかったですし、本当にもったいなかったなと思います。ごめんなさい、という気持ちです」

3月デビューの7人で唯一勝利を挙げられていませんが、気心知れたライバルであり、仲間である同期の存在が励みになっています。

「みんな自分のことでいっぱいいっぱいな中でも、連絡をくれました。仲がいいですし、切磋琢磨(せっさたくま)していける同期たちだと思うので、もっと自分も頑張らないとな、と思います」

母の実家が乗馬クラブを経営していたことから馬が身近な存在に。小学4年時にデビューした藤田菜七子元騎手の存在からジョッキーという職業を知り、その道を志しました。

「反省ばかりですけど、毎日がすごく楽しいです。先生にはいつも怒られますが、騎乗馬を集めようとオーナーさんに頭を下げてくださいますし、とてもありがたいです。とにかく周りの方々に恵まれていて、すごくサポートしてくださりますし、今回も私じゃなければ勝っていたと思うのに、責めることなく声をかけてくださって、本当に感謝しかないです」

厳しい勝負の世界。現状チャンスはそう多くありませんが、日々の仕事に真っすぐに向き合い、信頼、信用を積み重ねていきます。

「周りの方から見て、まだ私の騎乗は怖い、危ないと感じることが多いと思います。他のジョッキーの方が気を使ってくださるから事故が起きていないだけで、甘い部分をもっと詰めていかないといけないです。もっと余裕を持って乗れるようになって、この騎手に乗ってもらいたいな、と思われる存在になりたいです」

約15分間、はきはきとした受け答えで、等身大の今の自分を言葉にしてくれました。最後に写真撮影をお願いすると、初々しい笑顔を見せながら、力強く右拳を握ってくれました。「惜しかったねって言われるのがちょっと悔しかったので、今度はおめでとうって言われたいですね!」。初勝利を挙げた際はうれし涙ではなく、満面の笑みが見られることを楽しみにしています。【桑原幹久】