【スプリンターズS】ナムラクレア悲願へ「アンチエイジング」作戦 G1取り1カ年計画の集大成

坂路を軽快に駆け上がるナムラクレア

<追い切りの番人>

アンチエイジングで悲願達成へ-。秋G1開幕戦スプリンターズS(芝1200メートル、28日=中山)の追い切りが24日、東西トレセンで行われた。調教を深掘りする「追い切りの番人」の担当は、春G1・11戦9勝の太田尚樹記者。重賞5勝馬ナムラクレア(牝6、長谷川)に注目した。年齢を考慮して1年前から「3カ月1走」の長期計画を立て、10度目のG1挑戦に向けて究極の仕上げを施された。

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タービンのように高速で回転する脚さばきは若々しさを保ったままだ。キャリア22戦のナムラクレアは、“幼顔”も相まって6歳の年齢を感じさせない。坂路で4ハロン52秒6。ゴールを前に手綱で促され、後半2ハロンも12秒0-12秒0と脚並みを乱すことなく駆け上がった。下馬した長谷川師は「言うことないです」と声を弾ませた。

1年間にわたる長期計画が、いよいよ集大成の時を迎える。昨年のスプリンターズSで0秒1差の3着に敗れた後に、今年のリベンジへ策を練った。出した結論が「3カ月1走」だ。

長谷川師 6歳牝馬でダメージが残りやすいという観点もあったし、昨年に(高松宮記念からキーンランドCまで)5カ月空けた時にフィジカルの戻りが遅かった。3カ月のスパンがベストではないかと、厩舎で話し合って決めた。

そのプラン通り、阪神C(昨年12月)→高松宮記念(今年3月)→函館SS(6月)とほぼ等間隔で駒を進めてきた。疋田厩務員は「疲れをためず、緩めすぎず。アンチエイジングですよね。まだまだ戦う女。闘争心も切れてない」と目を細める。前走・函館SSは8着に沈んだが、出遅れた上に直線で進路を失ったのが敗因。実力の陰りを疑うのは早計だろう。

10度目のG1挑戦へ、集大成の仕上げを施された。トレーナーは「もうチャンスも少ないので、思い切って調整しようと、今までより1・5倍ぐらいの調教量を課してきたつもり」と説明する。先月下旬の帰厩から毎週2回の追い切りを重ね、ポリトラック周回も併用して乗り込まれた。ゲート練習も毎日のように繰り返し、発馬対策も万全だ。

18日の1週前追い切りでは坂路4ハロン49秒8の1番時計を出した。予定より速くなったのは確かだが、ルメール騎手は「ちょっと引っ掛かった」と認めた上で「メンタルと体は問題なさそう。6歳は関係ない。まだ走りたそう」と、衰えぬ前進気勢をポジティブに受け止めていた。心身ともに下降カーブは見受けられない。綿密な1カ年計画が実を結ぼうとしている。【太田尚樹】

◆6歳牝馬の戴冠 90年のG1昇格以降で6歳以上の牝馬が勝ったのは、15年ストレイトガール(牝6)が唯一の例となっている。牡馬・せん馬では10年の香港馬ウルトラファンタジー(せん8)など8頭が6歳以上で勝利をおさめている。