凱旋門賞(G1、芝2400メートル、5日=パリロンシャン)は血統で予想するのが面白い。各馬の血統表をながめれば、何代も重ねられた名種牡馬の名前が並び、出走予定馬には重厚な欧州血統馬たちがズラリと並んでいる。
大混戦という前評判の今年も血統的にハイレベルな馬たちが顔をそろえた。
前哨戦の敗戦と外枠に入ったこと、乗り替わりで人気薄だが、アローイーグルは無敗の凱旋門賞馬エースインパクトの1歳下の半弟。瞬発力を武器にした兄とは異なり、道悪で今年、安定した結果を出してきている。ガリレオ系の父グレンイーグルスは現役時にマイラーだったが、現在の欧州の中距離路線で最強馬の1頭、カランダガン(セン馬のため、凱旋門賞出走資格はなし)を出した。前走は久々だったことと、上がりの速い競馬に対応できなかっただけで、まだ見限れない1頭だろう。
他にも楽しみな血統馬がそろっているが、「血統から浮上する馬」として推したいのは、日本馬アロヒアリイだ。あえて日本馬を推すのだから、理由をしっかり伝えたいと思う。母の父オルフェーヴルを思わせるフットワークでギヨームドルナノ賞を快勝。凱旋門賞2年連続2着のオルフェーヴルの姿を重ねて期待するファンも多いと思うが、この馬の魅力はそれだけではない。
4代母は日本で一大牝系を築いたバレークイーン。その母は英オークスを圧勝し、凱旋門賞でも2着の成績を残したサンプリンセスだ。そして、「凱旋門賞馬トニービンの4×4」というインブリード(近親交配)がある点は確かな強調材料。
さらに言いたいのが、父ドゥラメンテと凱旋門賞だ。ラストランは16年6月の宝塚記念。入線後にM・デムーロ騎手が下馬するほどの大きなケガを負い、現役を引退することになったが、当時、陣営は凱旋門賞に登録を行っていた。もし無事であれば…。秋に凱旋門賞遠征が実現していた可能性はある。
ドゥラメンテだけではない。母の父オルフェーヴルに注目が集まっているが、「母の母の父」も日本の競馬で活躍した名馬だった。アロヒアリイの母の母の父はシンボリクリスエス。有馬記念を圧倒的な走りで連覇したこの馬も、ドゥラメンテ同様に参戦がかなわなかった、「幻の凱旋門賞馬」だ。あのオリビエ・ペリエ(凱旋門賞で空前絶後の3連覇を含む4勝)が引退を惜しみ、翌年の凱旋門賞挑戦を進言したほどの馬。すでに種牡馬入りが決まっていたために実現はしなかった。
アロヒアリイのフランス遠征初戦は超スロー逃げからの瞬発力勝負で仏ダービー2着、のちにニエル賞快勝のクアリフィカーを圧倒した。内枠でスタートが速くないため、楽にハナヘ行けるかどうかはわからないが、仮に控える競馬でも脚を使えるのでは…。凱旋門賞に挑めなかった父ドゥラメンテ、母の母の父シンボリクリスエス、そして、あと一歩で手が届かなかった母の父オルフェーヴル、父系と母系の両方で登場する凱旋門賞馬トニービン…。この血統背景を見れば、アロヒアリイは歴史的な大波乱を起こす可能性を十二分に秘めている。