「つらい決断」開業5年目の34歳女性調教師が廃業「現状の財政モデルで続けることはできない」

アリス・ヘインズ厩舎のXより

英国で開業5年目の女性調教師、アリス・ヘインズ(34)が4日、厩舎のX(旧ツイッター)を更新し、この日のチェルムスフォード競馬場のレースを最後に調教師を引退することを発表した。若手調教師の電撃引退として、現地メディアが大きく取り上げている。

声明でヘインズ師は「今夜、私はチェルムスフォード競馬場で調教師として最後の装鞍を行います。こんな言葉を口にするとは想像していませんでした。私の人生を形作り、心をつかんできたものから離れることはとてもつらい決断です。しかし、現状の競馬界の財政モデルでは、この仕事を続けることは現実的ではありません」と、経済面を廃業の理由に挙げた。「たくさんの人に感謝しています。忠実なスタッフ、獣医師、装蹄師、スポンサー、そして、信頼してくれたオーナーの皆様、馬たち、本当にありがとう。ともに過ごしてくれたパートナーのキーラン(オニール)にも感謝しています。皆さんのサポートは私の心の支えでした」と感謝を伝え、今後については「少し立ち止まって考え、次にどこへ向かうべきなのかを考えたいと思います。メディアの仕事や、何か機会があれば、競馬に関わり続けたいと思います。そして、またいつか調教に戻る日が来るかもしれません。私に多くのことを与えてくれて、私が愛した競馬というスポーツに別れを告げるということではありません」とつづっている。

ヘインズ師は平地と障害で騎手として10勝を挙げた後、2021年に調教師へ転身。22年にはフランスでG3を勝利し、昨年は自己最高の56勝を挙げた。今年は6月にロイヤルアスコット開催のG1クイーンアンSで厩舎の管理馬カイロが3着に好走しているが、ここまで開業以来最低の年間27勝にとどまっていた。

英国の競馬メディアはこのニュースを速報。競馬番組の名物司会者ニック・ラック氏はXに「有望な若手調教師が引退へ」と投稿し、レーシングTVは「悲しいニュース」と報じている。ヘインズ厩舎の投稿には「アリスのような才能のある調教師が持続不可能というのは大きな懸念事項だ」「賞金がひどい状況だ」「上位の調教師じゃないと厳しい時代ですね」「残念です。27勝を挙げている調教師が利益を出せないスポーツはおかしい」「競馬界には女性の存在が必要です。諦めないで」「アリス、あなたがどんな仕事をしようと素晴らしい将来になるように願っています」と馬主や調教師など競馬関係者、ファンがメッセージを寄せている。