【連載・有馬記念に挑んだメイショウ】「第1回」馬主歴27年目の初挑戦「馬ってホント難しい」

「メイショウ」の松本好雄オーナー(2025年撮影)

今年の有馬記念(G1、芝2500メートル、28日=中山)、日刊スポーツでは特別企画「有馬記念に挑んだメイショウたち」を連載します。メイショウの冠名で知られ、競馬を愛した故人、松本好雄オーナーをしのびます。第1回は今から25年前、00年12月22日付の日刊スポーツ紙面に掲載されたインタビュー記事の復刻です。

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「メイショウ」でおなじみの松本好雄氏は、オーナー歴27年目にして初めて愛馬が有馬記念に出走する。そればかりか、夢にまで見たグランプリ出場に、何といきなり2頭出しという幸運に恵まれた。「長い馬主生活で800頭以上も持ったと思うけど、まだG1レースを勝ったことがないんです。有馬は強敵ぞろいですが、うちの両馬も『自信を持って出せる状態』と厩舎から聞いています。チャンスはありそうですよ」。

東西約4000頭の競走馬の中から、わずか16頭という狭き関門を突破したエリート2頭-。「ドトウは自在性がある。好位を無理なく進めるようなら、小回りの中山コースで楽しめる。オウドウは大レースに強い河内騎手ですから、ちょっと(面白そうだ)ね」。

32歳の時、実父で社長だった金次さんが病に倒れ他界した(享年63)。後継指名を受けた好雄さんは経営を安定軌道に乗せる。3年後「阪神や京都の馬場でよく馬券を買っていました。オーナーにもなりたかった」と夢を実らせた。

若い社長が、さまざまな分野の人と接するには、趣味を多く持てば役立つと、園芸、釣り、囲碁、マージャン……とジャンルを広げる。とりわけゴルフはシングル(H8)の腕前だし、将棋は関西の重鎮、内藤国雄9段に手ほどきを受けて5段の免状を持つ。

「王将」が堂々と王道を進むようにと、期待を込めて名付けた「オウドウ」は、名種牡馬サンデーサイレンスの子とあって、4000万円もした。「馬ってホント難しい。ドトウの方はアイルランドで約800万円で手に入れ、会社の仲間が名付け親なんです。心情的にはオウドウに大駆けしてほしいが、実績からみて5分の1の価格の馬の方が先着するでしょうね」。苦笑いを浮かべるが、馬の話をするときの表情が飛び抜けて明るい。この気さくな性格がJRA阪神馬主協会(327人)の副会長理事として、個性派が多いオーナー団体をうまくとりまとめているようだ。

20日、お忍びで栗東に出かけ、自らの目で愛馬の状態を確かめた。とにかく熱が入っている。

「27年目の夢」。再び趣味の将棋にたとえるなら、メイショウ軍団の「飛車」(ドトウ)「角」(オウドウ)2枚で、相手の「王将」(テイエムオペラオー)を追い、一気に詰めにかかるシーンを頭に描いているのかもしれない。【編集委員 山岡孝安】

◆松本好雄(まつもと・よしお)1938年(昭13)1月6日生まれ、62歳。兵庫県明石市出身。千葉工大卒。立体駐車場、各種クレーン、大型溶接建造物を製作する(株)きしろ、および鉄道車両、橋りょう、建機、大型船舶部品の製作で有名な明石化成工業(株)代表取締役社長。JRA馬主登録は73年。現在の登録(所有)頭数は108頭。出身地・明石の「明」と松本の「松」を組み合わせて「メイショウ」。「名将」のニュアンスも持たせた。(数字、肩書などは掲載当時のまま)。