<ヤン子の真実(2)>
昨年の年度代表馬フォーエバーヤング(牡5、矢作)が世界最高賞金レースのサウジC(G1、ダート1800メートル、14日=キングアブドゥルアジーズ)で今年初戦を迎える。連覇を果たせば史上初の快挙だ。海をまたいで駆け回るダート世界最強馬の知られざる素顔とは-。連載「ヤン子の真実(リアル)」で紹介する。(第2回)
◇ ◇ ◇
現役最強ダート馬フォーエバーヤングが目の色を変えた。馬房でのんびり過ごしていたのが急変。攻撃的なまでになった。
それは担当の渋田助手がニンジンを取り出した時のことだった…。
「気をつけないと指まで持ってかれますよ」
かみつくような食べっぷり。その脚で29億円以上を稼ぐスーパーホースも、好物は“庶民派”だ。特別なメニューを与えられているわけでもないという。
厩舎では「ヤン子」と呼ばれている。550キロもの雄大な馬格とはギャップがあるような気もするが…。渋田助手は「2歳の時は別格にかわいかったんですよ。今は『自分の方が偉い』って分かってきたみたいですけど」と苦笑いする。
ではジョッキーから見ると、どうなのか? かつて坂井騎手に聞いたことがある。
「厩務員さんはちょっと大変みたいですけど、乗ってる分に関してはもう何も手のかからない、安心して乗っていられるタイプです」
オンとオフ。やはり一流馬の資質を備えている。それは渋田助手も実感している。
「本当にアスリートですよね。(トレセンで)検疫に入ったら『レースなの?』って聞いてきます(笑い)。分かるんでしょうね。レースが近づくと、牧草を食べるのも自分で制限していると思う」
そんな「ヤン子」は米国でも愛された。
「ケンタッキーダービーの時から、アメリカでも人気は感じていました。僕が『サインくれ』って言われたぐらいですからね。もともとアメリカの馬(母フォエヴァーダーリングが米G2勝ち馬)ですし」
海外での出走は今回で8戦目になる。サウジアラビア遠征も3年連続3回目。もはや、どこへ行っても動じることはないだろう。今年初戦でも堂々たる走りを見せてくれるはずだ。そして願わくば連覇を果たして、ご褒美のニンジンをたっぷり頬張ってほしい。【太田尚樹】