ダービーに届かなかった蛯名正義師が後輩津村騎手にエール「後悔しないように乗ってほしい」

津村明秀騎手(左)と蛯名正義調教師

津村明秀騎手(40)がデビューから手綱を取る皐月賞2着馬リアライズシリウス(牡、手塚久)とともにダービージョッキーの称号を目指す。

今年は既にキャリアハイとなる重賞5勝をマーク。全27勝中12勝がタイム差なしで、接戦での強さも示している。

好調を支える一因として本人が語るのが、およそ7年前から週に1度欠かさず取り組んできた筑波大での筋力トレーニングだ。ジョッキーに必要な筋肉を徹底的に鍛え上げ、より馬に負担をかけない、バランスのいい騎乗フォームを求めて改善に取り組んできた。

トレーナーである同大学の福田教授を紹介したのが、当時騎手の先輩で引退前だった蛯名正義調教師(57)だった。現役時代、30歳頃に同大学でのトレーニングをスタートし、引退まで20年以上サポートを受けてきた。

蛯名正師は津村騎手にこのトレーニングを紹介したきっかけについて以下のように明かした。

蛯名正師 俺が辞めるタイミングだったし、せっかくなら自分のデータを踏まえた上でもっといいレベルでの違ったトレーニングができるんじゃないかと思ってね。福田さんは面倒見がいいし、スピードスケートや冬季競技のオリンピアンも見てきた方。誰かいないかなと思って津村に声をかけて。もちろんセンスがあるしもっと伸びると思ったし、素直に聞ける人でないと駄目だからね。良くなりそうな感じがあった。

さらなる飛躍に期待が持てたという。続けて師は「(トレーニングは)けがの予防、メンタル強化にもつながるし、自信を持つためにも大事。自分の体に自信があると競馬もすっきり終われるし後悔しない。そして継続することが大事なので1人よりもチームでやることで続きやすいと思った。体のケアもそうだし、意識を高く持ち突き詰めればいくらでもアップデートできる」と改めて自主トレーニングの重要性を説く。

蛯名正師はジョッキー時代、ダービーには25回出場。G1・26勝の華々しい成績を収めた一方で、ダービーには手が届かず、12年フェノーメノ、14年イスラボニータの2着が最高着順だった。

かわいがってきた後輩は今年のダービーで人気を背負いチャンスのある1頭に騎乗する。「あんまりいろいろ言うのもあれなので『頑張れよ』とは言いましたよ。勝ったことないのにって思ってるんじゃない(笑い)。なかなかあることではないので後悔しないように乗ってほしいね。負けるのがほとんどなのでやり切れるかどうか。自分を信じて馬を信じ切れるかどうか」。熱いエールを送り、自身の果たせなかった夢を後輩に託す。【井上力心】