【栗東便り】武豊騎手&オグリキャップ「引退レースに乗れるだけで…」色あせぬ90年有馬記念

武豊騎手(2026年7月撮影)

あのレースだけは、何回見ても泣きそうになる。

90年12月23日中山9R有馬記念。オグリキャップのラストランだ。当時10歳だった僕にとっては“同じ岐阜出身”のヒーローでもあった。

先週18日のNHK「新プロジェクトX ~挑戦者たち~」では、有終Vへ導いた武豊騎手(57)も出演して大一番を振り返っていた。

僕自身もかつてレジェンドに当時を取材する機会があった。

「引退レースに乗れるだけでもうれしかった」

その半年前の安田記念で初めてまたがり、6カ月ぶりの勝利へと導いていた。

「非常にお利口さんで、自分が何をすべきか分かってた。人間みたいだったね」

以後は宝塚記念2着、天皇賞・秋6着、ジャパンC11着。4戦ぶりに託された手綱がラストランだった。

もう終わったのか?

まだ燃え尽きていないのか?

中山競馬場へ詰めかけた17万人超の大観衆は、半信半疑の目で芦毛のアイドルホースを見つめていた。4番人気5・5倍の単勝オッズも微妙な立場を表していた。

そして競馬史に残るドラマが幕を開けた。

3角大外まくりからの熱狂、あの「ライアン!」の猛追、そして左手を挙げた武豊-。観客席が「オグリコール」に揺れた。

なぜ劇的な復活を果たせたのか。

「ポテンシャルが高いのが根底にあるけど、いっぱいお客さんが来ていて、自分の役割というのが分かってたんじゃないかな」

英雄は英雄を知る。ともにスーパースターたる人馬が「自分の役割」を遂行したドリームレースだった。

ちなみに「日刊スポーツ 極ウマ」では、来週から武豊騎手にまつわる新コンテンツがスタートする。乞うご期待!【太田尚樹】