【とっておきメモ】「競馬で鍛えられた善臣さんが見たいんです」有馬記念企画を実現できず悔しい

柴田善臣騎手(2026年1月24日撮影)

<とっておきメモ>

JRA初の還暦ジョッキーがターフを去る。現役最年長60歳の柴田善臣騎手が引退を決断した。15日、JRAが発表した。本人から騎手免許の取り消し申請があり、18日付けで騎手免許を取り消す。

16日に会見を行う予定で、今後はJRAのアドバイザーに就任する。競馬学校騎手課程の1期生として1985年にデビュー。通算2341勝、JRA重賞96勝(うちG1・9勝)を積み上げた。42年目の今年は3勝を挙げるも4月に右肩を負傷。懸命なリハビリを重ねたが復帰に至らず、目標とした還暦での騎乗はかなわなかった。

   ◇   ◇   ◇

読者をビックリさせる、喜ばせる記事を書きたい。そんな思いから十数年前、金曜朝の騎乗馬取材後、善臣さんに頼んだことがある。「ヨシトミさんのヌード写真を紙面でやりたいんですけど、どうですか」「え?」「上半身を裸で」「オレ? もう40代後半だよ。そんなの若い人の方がいいでしょ」「いえ。若いときからずっと馬に乗ってきたヨシトミさんじゃなきゃダメなんです」「うーん…」「ただムキムキの身体なんて見たくないんですよ。みんな、競馬で鍛えられたヨシトミさんの身体が見たいと思うんです」「うーん…」。一瞬の沈黙の後、「オイルとか塗ると、きれいに写るらしいね」と善臣さん。「いつ、載せるの?」「有馬記念です。有馬記念の日の新聞にヨシトミさんのコラム特別版でドーンと」「わかったよ」。やった、と心の中でガッツポーズ。ただ、自分の力不足のせいで、社内の紙面会議で提案した「善臣ヌード@有馬記念」企画はあえなく却下された。実現できなかったことを今も悔しい思い、申し訳ない思いでいる。

「馬に乗ってて怖いと思ったことは一度もない。思ったら乗れないよ」。週末の紙面に掲載するコラムの前振りの話題に、善臣さんはどんなことでも真摯に答えてくれた。長い長い現役生活、本当にお疲れ様でした。

記者が小学校高学年で競馬を見始めた頃から乗っていた善臣さん。記者になって予想に悩んでいたときに助けてくれたのがオークスのピュアブリーゼ(2着)でした。JRAの騎手として初めて還暦を迎えた、その身体を今はゆっくり休めてもらいたいと思います。【木南友輔】