柴田善臣元騎手の菊花賞回顧「豊はさすが。あの形になると見えていたのでは」勝因と敗因を分析

菊花賞は武豊騎手のゴーイントゥスカイが接戦を制した(撮影・西尾就之)

<菊花賞>◇25日=京都◇G1◇芝3000メートル◇3歳牡牝◇出走18頭

9月に引退を発表した元トップジョッキー柴田善臣氏(60)が、独自の視点でG1レースを振り返る「ヨシッ!!トミのG1ソムリエ」。第2回は菊花賞の回顧です。

   ◇   ◇   ◇

今年の菊花賞の最大の焦点は3冠馬誕生なるか。ロブチェンを応援しながら見ていたのですが…。偉業達成とはならず残念でしたが、ゴール前は見応えある攻防が繰り広げられました。3000メートルへの距離適性がはっきり出たレースだったと思います。

ゴーイントゥスカイを勝利に導いた(武)豊はさすがですね。菊花賞6勝目。言うまでもありませんが、京都の長丁場の乗り方を熟知しています。今回も、じーっと動きませんでしたもんね。ロブチェンなど他の有力馬は外を回って進出する形になりましたが、ああいう形になることは見えていたんだと思います。直線ではばらけて、進路が開くだろうと。そして実際にその通りになった。馬の力もありました。3コーナーあたりで軽く促して、直線に向くときは手応え十分。最後までしっかり伸びました。

前走のセントライト記念では菊花賞を見据え、道中あえて動きませんでした。トライアルでのレース内容が、本番で生きたと感じます。ダービーでは腹をくくった乗り方でした。そのときゴール前で伸びてきた馬が、今日勝った。鞍上もやっぱり、長距離が向いているという感じを持っていたんでしょう。

現役時代にお世話になった千代田牧場の生産馬がG1を勝ったこともうれしい。飯田会長には、僕がデビューする前から顔を覚えていただいています。牡馬クラシックは初めてですか。お祝いのメールを送らなきゃ。

ロブチェンは距離の壁があったのでしょう。これまでも道中で力むところがありました。2400メートルまでは持っても、3000メートルになるとはっきり適性が出ます。

今回はスタートが良くなく、後方からの競馬に。以前から、ゲートのなかで少し後ろにもたれる感じになることがありました。それでも重心が沈んでゲートを出ていたのですが、今日は飛び上がるような形に。その後、じっくり運んではいたのですが、要所要所で少しハミをくわえるようなところはありました。適距離に戻れば強いはず。また頑張って欲しいですね。

大逃げを打った馬がいましたが、あれぐらい離れるとあまり道中は気になりません。それよりも、自分のリズムで走れるかどうかが一番大事になります。動くのは3コーナーあたりから。そこから自分の馬がどれぐらい脚が残っているのか計算して動く形になります。

2着バステールは、道中よく我慢していました。早めに仕掛けたダービーとはまた異なる形で直線勝負。(川田)将雅もじっくり構えていました。3着ダノンヒストリーは、3コーナーから自分で動いた。それでこの着順なのだから、やっぱり力がありますね。ただ、3000メートルはちょっと長かったかもしれない。

4着サノノグレーターは道中じっと我慢できたことが大きかった。田辺君もよく我慢させていました。5着シートゥサミットも良く頑張った。離れた2番手で、自分のリズムを保てたことも大きかったのでしょうね。

来週は天皇賞。僕の引退式もあります。本当はやりたくないんだけどなあ(笑い)。でも、皆さんの顔を見られることは楽しみ。ぜひ、競馬場でお会いしましょう。(元JRAジョッキー)