世界中が注目する米大統領選の投票が現地時間3日、始まりました。新型コロナウイルス感染症の対策として今年は郵便での期日前投票が呼びかけられていたこともあり、前日までに投票を済ませた人は4年前の大統領選の投票総数の7割に達する1億人を超えており、注目度の高さがうかがえます。

ハリウッドの中心部ハリウッド&ハイランドの店舗も暴動に備えて急ピッチで板を窓に貼る作業が進んでいた
ハリウッドの中心部ハリウッド&ハイランドの店舗も暴動に備えて急ピッチで板を窓に貼る作業が進んでいた

ここカリフォルニア州でも1100万人以上がすでに投票を済ませていますが、ロサンゼルス(LA)ではドジャー・スタジアムやレイカーズの本拠地としても知られるステープルズ・センター、ハリウッドのパンテージ・シアターなどLAを代表するランドマークも投票場となっており、投票日当日も各地の投票所にはマスク姿で並ぶ有権者の姿が多く見られます。

民主党支持者が多いカリフォルニア州はバイデン候補の圧勝と言われており、事前の世論調査でもバイデン候補の優勢が伝えられていますが、勝敗は五分五分と言われる中西部や南部の激戦州での勝敗の行方によっては結果が大きく左右される可能性もあり、東海岸から順次投開票が進むにつれて未曽有の大混乱が起こることが予想されています。

5月の暴動で略奪や放火が起きたサンタモニカのショッピング街も作業員たちが板を打ち付ける作業に追われていた
5月の暴動で略奪や放火が起きたサンタモニカのショッピング街も作業員たちが板を打ち付ける作業に追われていた

「トランプ大統領は負けてもホワイトハウスに籠城するだろう」「選挙結果は不当だと騒いで裁判に持ち込むだろう」「隠れトランプ支持者の票が当日に大挙してなだれ込む可能性がある」など何が起きるか分からないと多くの人が感じているだけでなく、どちらが勝っても暴力的な抗議活動が起こるのは避けられないと警戒を強めています。

すでに様々な団体がデモを計画していると伝えられている他、反ファシズム運動を展開する「アンティファ」によるテロや混乱に便乗した略奪や暴動などが起こる可能性も指摘されており、全米に不安が広がっています。特に今年5月には黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警察官に殺害された事件を受けて大規模な抗議運動が起き、ここLAでもそれを発端に一部の略奪者たちによる暴力行為や商店の破壊、略奪などが起きているだけに、多くの市民が選挙後に起こると想定される大混乱を前に緊張感が高まっています。

暴動に備えて道路が封鎖されたビバリーヒルズのロデオドライブ
暴動に備えて道路が封鎖されたビバリーヒルズのロデオドライブ

5月の暴動で大きな被害を受けたビバリーヒルズの高級ブランド街ロデオ・ドライブは投票日から翌日までの2日間、全ての店舗が営業を停止して道路も完全封鎖することを発表。ティファニーやグッチなどのブランド店の窓や入口は板で覆われ、警察による警備体制も強化されています。

ビバリーヒルズの高級ホテル「ビバリー・ウィルシャー」も一面板に覆われて完全封鎖
ビバリーヒルズの高級ホテル「ビバリー・ウィルシャー」も一面板に覆われて完全封鎖
ティファニーも板で入口や窓を覆う対策を行っている
ティファニーも板で入口や窓を覆う対策を行っている

また、同じく大きな被害を受けたサンタモニカやウエストハリウッドなどでも、投票が始まるのを前に多くの商店やレストランが窓に板を打ち付けるなどの対策を行っています。また、多くの市民が暴動に備えて自宅に籠れるよう食料品や日用品の買いだめも済ませており、今晩から明日にかけて街はゴーストタウンと化しそうです。

今回の選挙は期日前投票や郵便投票がかなりの数を占めているため、当日に結果が判明しない可能性が高いと言われており、その場合は両陣営の支持者らによる衝突だけでなく、選挙の正当性を認めない勢力よる暴力行為が起こることも懸念されます。

強奪や暴動に備えて板で入口やガラス窓を覆う銀行
強奪や暴動に備えて板で入口やガラス窓を覆う銀行

また、バイデン候補が勝利してもトランプ大統領が敗北を認めない場合は右派勢力による暴動が起こる可能性がある他、その逆で極左グループによる暴動というシナリオも考えられます。いずれにしてもどちらかが圧勝しない限りは両陣営共に敗北を認めず、両者が共に勝利宣言をすることも想定され、ここ数日は何が起きてもおかしくない緊迫した状況が続きそうです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)