人間の体重ぐらいの魚と格闘してみませんか? 静岡・久料「魚磯丸」(久保田清船長)では、年間を通して根魚のモロコとイシナギをターゲットにしている。とにかくデカい。40センチ超のサバを釣って、そのサバを泳がせてエサにして誘う。いつかはモロコ…豪快な魚との勝負、ちょっとのぞいてみましょう。

2019年上半期は、とにかくサバの姿をみなかった。元気だったのは、冬の千葉・外房でのフラッシャー仕掛け(硬い材質の飾りのついた6~8本バリの胴付き仕掛け)ぐらいで、マダイのエサ取り(ハリにつけたエサを食いちぎっていく本命じゃない魚)もフグの猛攻に遠慮したのか、サバの影すら見えなかった。

もしかしたら、サバは絶滅したんじゃないか?

いました、ちゃんといました。入梅してから目立つようになってきた。東京湾、相模湾、そして駿河湾でも仕掛けに絡んでぐちゃぐちゃしてしまう。食べればおいしいのだが、静かに釣りをさせてくれないので、釣り人からは、うとまれる存在なのだ。そのサバを待ちこがれていた。

沼津市ではあるが、エリアとしては伊豆長岡温泉からちょうど西側に位置する久料港。通年でマダイを狙うことで知られている「魚磯丸」の本拠地だ。年間通してターゲットにするのは、マダイだけではない。モロコとイシナギもメンバーさえそろえば、いつでも出陣できるのだ。

イシナギとモロコは、根周りに生息する根魚だ。成長すると100キロを超えることもある。エサはサバ。生きているサバをハリに掛けて、200号のオモリとともに落とし込む。ヒラメ釣りの仕掛けがガッチリしたものと考えればいい。生きエサがイワシではなくサバ、オモリも60号ではなく200号、ハリスは3~5号ではなく50~80号に入れ替えるイメージで間違いない。

まずは、サバ。釣行前日、午後便でイサキを狙いながら、サバの状況をみたが、簡単にヒットしてきた。その腹づもりで仕掛けを投入したが、ウンでもなければスンでもない。釣りの格言で「同じ海は2度とやってこない」というが、ほぼ同じ海域なのに、1日時間を置くだけで釣況は変わってくる。釣れたときのこだわりを捨てて、すぱっとあきらめてどうやれば釣れるのかを探っていく。

コマセをまいてから、あまり動かさずにサオをキーパーにセットした。30秒ほどすると、ブルン。サオ先が震えて巻き上げると35センチのアジだった。うーん、サバがいいんだけどなぁ。

前日の釣行では「こんなにサバ、いらない」と、6匹を開いて船上で干物にして、途中から取り込まずに海面近くでサオ先を震わせてハリから外して逃がしていた。結局、30秒置きザオ釣法でアジ3匹、サバ3匹をなんとか確保できた。いよいよ水深150メートルのモロコのポイントに移動。モロコ用のタックルを借りて、魚磯丸特製仕掛けを使った。ハリを生きたサバの上アゴを貫通させてハリを背掛けにする。このときに下アゴから貫いて肛門付近にハリを腹掛けにするか、迷ったが、背掛けにした。ここが運命の分かれ道だった。

モロコやイシナギは狙って釣れる魚ではない。仕掛けを着底させて、根掛かりしないように、3~5メートル浮かせて待つ。あとは魚がどの生きエサを選ぶかだ。運が良ければ釣れる。

悠長に構えていた。心の中では「どうせ釣れない。船の中の誰かがヒットすればいい」程度に考えていて、自分が釣ることはまったく考えていなかった。

たいがい、こんなときほど魚に選ばれる。なんと第1投でサオ先がギュン、と入った。乗船前に久保田船長から「慌てなくていい。魚が食い込んでからでいい。サオがギューンと入ったら電動リールのスイッチを押すのでいい」とアドバイスを受けていた。

しかし、サオ先が動いて反射的に合わせてしまった。サオを持つ両手には何も負荷が感じられなかった。あー、気が早すぎた。巻き上げると、サバの腹の部分がばっくり削るように食われていた。ハリを腹掛けにしておくべきだった。

船中でアタリはこれだけ。でも、チャンスはある。少なくとも魚がいることが判明した。読者のみなさんのモロコは残しておきましたよ。魚磯丸では石花海への遠征便を予定している。21日がイサキ、そして25日はモロコを狙いにいく。海のロマンを味わいに静岡・久料に進路をとってみませんか?【寺沢卓】

▼船 久料「魚磯丸」【電話】055・942・3230。モロコ&イシナギは、通年で狙えますが、6人以上のグループでの申し込みがありがたいです。もしくは、出船日程が組まれている場合があるので電話で問い合わせてください。集合時間は、近場であれば午前4時45分、石花海などの遠征では同3時30分。午後便は午後0時半。また、マダイと根魚五目も通年営業。料金は移動距離によって異なるため、船宿に問い合わせてくださいね。