富山・射水市の車孝信選手(家島)が北陸勢として初めてG杯を制覇した! チヌ(23センチ以上)の総重量を競う「第38回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権」(主催・(株)がまかつ、共催・GAMAKATSU PTE LTD)が2、3日、広島湾内一帯の磯を舞台に全国の予選を勝ち上がった35選手(シード、推薦含む)が参加して行われた。決勝戦は「弁天磯南」で2時間戦い1310グラム(2匹)対0匹で車選手が青木重人選手(富浦)を破り、快挙を達成。3位には桑原将太選手(九十九島)が入った。

「この優勝は、クラブの仲間たち、みんなでつかんだものです」。車選手が表彰台のてっぺんで喜びをかみしめながら、協力してくれた仲間に向かって、優勝カップを高々とかかげた。

決勝戦は緩いあて潮が流れる弁天磯南で午前11時から行われた。ここは車選手が前々日に2人の釣友と試釣りをした磯で、潮の流れに合わせた仕掛け、ヒットパターンを3人で協力して探ったところ。それだけに攻め方に迷いはなく「磯際の餌取りを避け、沖狙いに徹しました」と振り返る。

30メートル沖へまき餌を集中させ、仕掛けを張りながら刺し餌を同調させると前半の残り10分で30センチ級を仕留めるが追加はなく、場所替わり。チヌの活性が上がりだし「後半で青木選手にまくられないかと心配だったが」、自分の釣りに集中すると後半開始10分で再び本命アタリをキャッチ。

青木選手よりも遠投することで2匹目の食いを引き出し、逃げ切り態勢に。結局、2匹(1310グラム)対0匹で青木選手に快勝した。優勝が決まった瞬間、車選手の緊張が解き放たれ、力を出し切った穏やかな表情で達成感に浸った。

G杯を目指すきっかけは「釣士道オフィシャルトーナメントチーム」の会長・安田直喜氏との出会いだった。円錐ウキやラインをプロデュースするなど、安田氏のフカセ釣りに対する情熱に魅せられ、同チームに入会。クラブの仲間に全国大会で腕試しをしてみてはと勧められ06年から歴史があり、あこがれていたG杯チヌに参戦した。だが、全国大会のレベルは高く、08、12年と決勝リーグに進めずに惨敗。「予選リーグを突破するためには3勝が必要。地元だけの釣り方では、安定した釣果がだせない」と痛感した。

そこでクラブの例会に積極的に参加し、チヌ釣りの激戦区(岡山、広島)へも年に5、6回遠征。仲間たちと切磋琢磨(せっさたくま)しながらトーナメントで勝ち上がるためのペース配分、数を釣るための手返し、仕掛けの工夫などを磨き、3度目の本大会出場でついに頂点まで上り詰めた。

来年の目標は「もちろん表彰台です」ときっぱり。「決勝は後方が狭かったので遠投がしづらくて数を伸ばせなかった。来年は潮の見極め、狭い場所でのキャスティングをもっと磨いて戦いたい。常に上位争いが出来る選手になりたい」とさらなる飛躍を誓った。【中村和嗣】

◆車孝信(くるま・たかのぶ)1968年(昭43)10月10日生まれ。射水市在住。会社員。チヌ釣り歴は15年(グレは10年)ホームは能登半島の磯。釣士道オフィシャルトーナメントチーム所属。