月桂冠杯筏チヌ釣り大会で女性が初めて優勝した! 日刊スポーツ、日刊銀鱗倶楽部主催「月桂冠杯 和歌山・白浜筏チヌ釣りセミナー&大会」が19日、同・堅田の筏で行われ、45人が参加し、チヌなどの1匹長寸を競った。天候がころころ変わり、雨がどしゃ降りの時間帯もあったが参加者はあきらめることなく奮闘。午後3時半の納竿間際まで良型を求めて熱戦を繰り広げた。優勝は渡邉理英子さん(東大阪市)で50・2センチの大チヌを仕留めた。最多匹数の人に贈られる「月桂冠賞」は34・8センチまでを4匹釣った那珂浩一さん(湖南市)が受賞した。

「めちゃくちゃうれしいです。今夜は夫(渡邉信さん=3位)と、いただいたお酒(純米大吟醸・鳳麟)で祝杯を上げます」。渡邉理英子さんが、迫力満点の年なしチヌを両手で持ち上げ、喜びを爆発させた。

小学生のころから父に連れられ、魚釣りを覚え結婚してからは信さんを師匠にかかり釣りにはまって8年目。「繊細なチヌアタリ、短竿のダイレクトなやりとりがたまらない」と話す。

毎月1回は和歌山の由良、福井の若狭湾へ釣行。時には石川の能登まで遠征し「釣れないときは悔しくて涙することもあるんです。私が優勝するよりもうれしい」。信さんが目尻を下げ、やさしいまなざしで妻をたたえた。そんな理英子さんの負けず嫌いな性格が快挙を呼び込んだ。

乗った筏はボラの27号。朝一から潮の流れが鈍く、オキアミを餌にダンゴ釣りで攻めるが、ボラとヘダイのオンパレード。昼ごろからはどしゃ降りの雨にも打たれ、心が折れそうになるが、午後2時前、潮が動き出す時合を見事にとらえた。

底潮が筏の下へ流れだすと本命アタリが出だし、竿先を下げてアタリを消していった3回目の小さな押さえ込みで大合わせ。竿を前方へ突きだしながら筏下への突っ込みをかわし、自己記録(42センチ)を更新する50・2センチをタモに収めた。無事に取り込んだ瞬間「よっしゃ」と心の中で叫んだ。

優勝インタビューでは「ボラが多かったけど、粘り勝ちの1匹です。来年も参加し、連覇を目指して頑張ります」ときっぱり。目指すはロクマルの大チヌ。「いつか釣ってみたい」。夫婦のきずながさらなる大物との出合いを引き寄せる。【近江康輔】