2019年ブラックバス選手権の決勝が9日、相模湖「柴田」で開催され、昨年覇者の上野陽介さん(33=古河市)と6地区予選を勝ち上がった13人、敗者復活の2人を含む計16人で腕を競った。地元相模湖1位通過の串田和也さん(34=八王子市)は決勝初進出、3匹で総重量3650グラムと2位以下にキロ差をつける横綱相撲で初優勝を成し遂げた。

串田さんはすべて1キロ超の3匹のバスをもっていたが、不安しかなかった。

先輩の福島隆之さん(46=横浜市)に「日刊のバスの決勝は甘くない。3匹の総重量で4キロないと勝てない」と気合を注入されていた。福島さんは過去に何度も決勝進出しており、その言葉には重みがあった。

串田さんの検量は16人中15番目。この日は厳しく6人が釣果ゼロ、3匹釣れたのは串田さんと準優勝の福本さんだけ。記録をみて3キロ以上はいなかった。運命の測定で3650グラムを刻み、初優勝の栄冠を引き寄せた。

「うっしゃー、なんとか勝てた。うわっ、これ、うれしいスね」と、握りしめたこぶしを何度も突き上げた。

プラクティス(事前の練習釣行)に来られなかった。午前6時のスタートで他の参加者がどう出るのか見守るため、わざと遅れてスタート。柴田桟橋から対岸となる小寒沢がぽっかり空いていた。

串田さん 誰も入らないんだ、ラッキーと感じた。様子を探る意味もあってスピナーベイトを投げて巻いたら立て続けに2匹ヒットした。手応えを感じていたのにその後、ピタリとアタリが止まった。福島さんの言葉が脳裏をよぎった。

その後、カバーを丹念に攻めるもベイト(エサになる小魚)の気配もなく、柴田の桟橋付近に戻った。

実は数釣りは好きではない。自分の満足できる40センチ以上の大型と巻き物で勝負することを好んでいる。

串田さん 性格なんですかね。ライトリグで粘り強く待ち続けられない。だから、今まで相模湖予選で負けて終わっていた。

桟橋に戻った時点で、禁断のライトリグで釣ろうと腹は決まっていた。ところが桟橋周辺のポイントには誰かが入り、割り込むスペースはなかった。ライトリグを置いて、再び対岸に走った。残りは2時間。

串田さん 手段を選ばずに釣果に走ろうと思ったけど、やりたい釣りに行こうと決めた。で、貝沢で3匹目、最大の43センチだった。

準優勝の福本勝也さん(45=相模原市)は残り3時間で3匹を釣った。

福本さん スモラバのフォールで最初ヒットしたが、縦方向に可能性を感じなくて、フットボールジグをズル引きで巻いてきたら2匹とれた。

3位の伊奈正宏さん(36=袖ケ浦市)は岬状のポイントを狙った。

伊奈さん 8~9メートルにメタルバイブをすーっと落とした。シャローも5回アタリはあったけどダメ。ディープでしたね。

それぞれの攻略法で活路を開いた。串田さんは最後に朝1発でとれた小寒沢に戻った。40センチ後半のデカバスをヒットしたがバラしてしまった。

串田さん 最後はキャッチできなかったけど大満足。最後まで自分の釣りを貫いて勝てた。チョー気持ちいいです。

まだ、来年の決戦の地は決まっていない。12月10日の会議で来年のバス予選&決勝日程が固まる。今年のバスの熱い戦いの幕が閉じた。【寺沢卓】

▼ルール 出舟は午前6時。同8時30分と11時にメールによる経過報告と、名前を伏せたその時点での状況報告を事務局から参加者に返した。午後1時帰着・検量。3匹の重量勝負。

当初、決勝は10月22日だったが、度重なる台風被害で決勝会場の相模湖の水況が落ち着かず、11月9日に順延された。

西湖「白根」、精進湖「湖畔荘」、亀山湖「ボートハウス松下」、河口湖「ハワイ」、相模湖「柴田」、新利根川「松屋」の6地区、敗者復活戦トライアウトから3人ずつ選出、シード参加の昨年覇者上野さんを含む計22人で競うはずだったが、順延により不参加が出て9日当日は16人での決勝となった。