夜のタチと昼のマダイ五目-静岡・駿河湾、田子の浦沖には2つの顔がある。田子の浦「海渡」では、夕方から深夜までシャクってタチウオを掛ける釣りと、早朝から昼までゆったりとコマセ遊びをしながらマダイをメインに狙うことができる。この時期ならではの違った釣りについてリポートした。

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駿河湾の奥座敷、田子の浦では夜と昼で、趣の違う釣りを楽しめる。

夜は、サオをシャクって(上下動させること)誘ってハリに掛けるタチウオ釣り。日中は、サオをセットして待ちを中心としたマダイ釣り。どちらも、寒気が差し込んでくる今の時期がピークになってくる。

まず、夜タチ。船上でライトをたいて、深い場所にいるタチウオを浮かせる。水深80~100メートルの海域で、海面から30~40メートルで根掛かりを食らったような衝撃を残してヒットする。

ただし、誘いはそう簡単ではない。大きく勢いよくシャクってしまうと警戒して散っちゃう。サオ先をはね上げたら、ちょっと動きを止める。このときにサンマエサのついたハリがユラユラと落ちていく。ここでタチウオがバクリと食いつく。次にシャクるときにくだんの根掛かり的な力強さを感じる…はずだ。

はて、どのぐらい動きを止めていればいいのか?

だいたい3~5秒かなぁ。はね上げたサオ先を静かにおろしていく時間と考えても良い。夜闇の静寂とシャクって感ずるタチウオのパワー。この落差にしびれて、足しげく海渡に通ってしまうのだ。

夜が苦手、という人ならば、集合時間がちょうど12時間違うマダイ五目はどうだろうか?

富士山も冠雪して静岡にも冬の気配が舞い降りているが、今釣れているマダイは通称「秋ダイ」と呼ばれるたぐいだ。マダイは産卵期が4月上旬から5月過ぎ。そのときに生まれたマダイは、大きい個体では2キロぐらいになる。

その2キロ前後のマダイ-ヒレがピンと立って、淡いピンク色の体色がとても美しい。一説では、駿河湾の名産のサクラエビとシラスを食しているため、他地区のマダイよりもおいしいとも評される。まあ、好みもあるが。

ハリスは太くてしっかりしたものがいい。外道で今年はイナダ&ワラサが多いからね。4号以上が安全確実です。今年は魚探の反応も濃くて、マダイ釣り未経験者には、デビューにもってこいかもしれない。

市川浩輔船長は「夜タチもマダイも濃い。まずは電話してください。田子の浦から楽しい釣りをしましょうか」と呼びかけている。

▼宿 田子の浦「海渡」【電話】0545・60・0708。夜タチウオは集合時間要確認、氷&エサ付きで1万円、ルアーは1000円引き。日中のマダイは午前6時集合、氷&エサ付きで1万円。