清流に磨かれた美しい「美女(みめ)鮎」を求めて6月28日、南紀・古座川へ出掛けた。本流の中流域は雨で水位が高く、支流から濃い濁りが入る悪条件だった。それでも、ダムの放水はなく、支流よりも上流へ入ると入れ掛かり。良く肥えてコンディションがいい17~23センチを24匹追わせた。

午前11時ごろ、田上おとり店(日刊銀鱗倶楽部加盟店)に到着。「解禁以降、高水で釣り荒れていない上流部が狙い目ですよ」と店主の田上智志さんから聞き、支流・佐本川の出合よりも上流へ入った。狙ったのは大石が沈む深瀬。水位は20センチ高で濁りなし。アカ付きは7~8割程度。流芯は新アカが付き出しているが、少し色が薄い感じだった。

仕掛けは高水のため、比重のあるタングステンの単線メタルで、オトリを深く入れることを最優先に考えた。竿はテンションをかけても、オトリが浮きにくい柔らかい胴調子のものを選択。掛け針は取り込み重視で軸が太い7号のしわり系4本イカリにした。

ひと流し目、流芯の手前へオトリを送り込むと10秒ぐらいで目印がストーンと引き込まれ、やる気のある17センチ級の野アユがハリ掛かり。いい場所では、まっ黄色な良型が次々に掛かると聞いていたので、ワクワク感が止まらない。オトリを交換し、下流側に送り込み、扇状に引きながら泳がせる。すると流芯の大きな沈み石の横でガガガッと手元に響くアタックがきた。竿を立てるとグイグイ上流へ上る。胴調子の竿の弾力を利用してやさしく引き抜いたのは背中が盛り上がった22センチの良型。追い星が鮮やかで背びれの長い美しいアユだった。

次もオトリを流芯に送り込むと大石を横切った途端にガガガ、ギュイーン。強烈なアタリのあと、対岸まで一気に走る。これも、グッドサイズ。20メートルほど川を下って取り込んだのはよく肥えた23センチで125グラムもあった。その後も点在する大石の頭、両サイド、後ろを丁寧に探ると次々に追ってくる。しかも、22センチ級の良型ぞろい。3時間ほどで24匹(大半が19~23センチ)と上出来の釣果に満足し午後3時半に竿を置いた。釣行後は大雨で入川不可の状態が続いているが、古座川は増水に強い天然そ上アユの河川なので心配はないと思われる。追いが本格化する梅雨明けの新アカ狙いに期待したい。昨年よりもそ上量が多く、上流域は型狙い、中流域は数釣りが楽しめそうだ。

【日刊FPC・井上富博】

問い合わせは、田上おとり店(日刊銀鱗倶楽部加盟店)【電話】090・5242・9152。