季節に関係なくマダイが釣れるミステリーな釣り場があるという。世界遺産、三保の松原だ。静岡・清水港「大和(やまと)丸」(大多和勝己船長)から出船した。「マダイならオレにまかせろ!」と名乗りをあげたのは“大魔神”こと佐々木主浩さん(52=本紙野球評論家)だ。曲がり続けてしなるサオ、そして鮮やかなピンク色のマダイ、マダイ、マダイ…富士山のふもとにマダイ師が小躍りしそうな漁場があった!

大魔神が清水港に足を踏み入れた。横浜大洋ホエールズに入団した野球選手でもあるので、かつてのキャンプ地、草薙球場もすぐそばだ。

大魔神 でもね、草薙には触ってないんですよ。球団としてご縁はあるんでしょうが、個人的には未開の地ですね。楽しみです。

確かに大洋は1986年まで草薙で春季キャンプを行っていた。大魔神は90年入団なので、野球人としてはニアミス。さて、マダイ釣り師としての相性はどうだろか?

久料「魚磯丸」からの紹介で大和丸に連絡を入れた。落ち着いたしゃべり方の大多和船長は「ウチは1年を通してマダイを追いかけている。主に三保沖なんだけど…そう、あの松原の三保ね…季節に関係なくマダイはいますね」と話した。

コマセマダイの大好きな大魔神に伝えると「面白いですね、ぜひ行きましょう」と即座に答えが返ってきた。楽しくなりそうだ。

常連さん3人が右舷、大魔神とタコボウズ(寺沢です)が左舷に陣取り。大魔神はいつものミヨシ(船首)にどっかり腰をおろした。陸地は雲がかかって富士山は見えなかった。海は完全なナギ。マダイが釣れそうな予感が膨らんでいく。

大魔神 いい感じですね。対決とかの企画ではなく、純然とマダイ釣りに打ち込めますね。今日は釣るよぉ~。

気合十分で三保沖で仕掛けを投入した。水深は40メートルを切るぐらい。浅い。仕掛けは80号ビシにハリス10メートル、基本的なマダイ釣りのシステムだ。

タナ(海面から25~30メートル)に合わせて待つ。誘いを入れようとしてサオを上下させようとしたら、大多和船長がマイク越しに「あんまりいじらねぇ方がいいかもなぁ」と絶妙なアドバイス。大魔神も耳をすまして聞いていた。

アタリはすぐ来た。右舷の常連チームのサオ先が上下に震えて、海中に引きこまれる。1~2キロ級のマダイが次々にあがった。大魔神のサオ先も揺れたが、イサキだった。船内スピーカーで大多和船長が「そのイサキ、そんなに大きくないけど、脂乗りは最高だね。だまされたと思って食べてみて」とすかさず教えてくれた。

常連もその流れに乗っかって話し掛けてくる。自然と船内が笑い声で包まれる。船長のスピーカーで船の上がなごやかになっていく。面白い乗合船だ。

大魔神のサオ先が揺れて、キュン。マダイのアタリだ。スルンと巻いてくると1・5キロの本命だった。そこから連続してアタリが続いた。右舷の常連さんも好調。無反応だったタコボウズにも約1キロがかかって、やや時間をおいて2キロ台を取り込めた。マダコ、テンヤでのタチウオと大魔神との釣行では2回連続のボウズ(釣果ゼロ)だったので安心した。

結局、大魔神は2キロ台を含み5匹。船全体では最多8匹で計24匹(リリース含まず)があがった。

すべてピンク色のきれいなマダイだった。三保沖、なかなか面白い。

大魔神 これ、まっちゃんとの対決、ここでいいかもね。

松本秀夫アナウンサーとの次回のマダイ対決は、富士山を見上げる清水になるかもしれない。【寺沢卓】

▼清水「大和丸」【電話】090・7686・5010。三保沖のマダイ釣り乗り合いは、午前5時集合、サオ入れは同6時から。沖あがりは同11時(4~9月)。氷&エサ付き1万1000円。10月から翌3月まで、午前5時30分集合で現場での釣り時間は同6時30分~同11時30分。また、夜タチウオ→マダイ&アジのリレー便もあり、午前3時集合で同8時30分納竿。HPでも情報配信中。