「K-ZEROフェスティバル2020IN三重、九州大会」(主催=K-ZERO)が万全のコロナウイルス対策のもと、8日に行われた。三重・鳥羽の小浜の筏(70人)と佐賀・肥前町にある仮屋湾のかかり釣り場(42人)に分かれ、チヌの総重量と1匹長寸を競った。総合優勝は谷健太郎さん(三重)で、シラサエビを餌にした得意の広角釣法で5・32キロ釣り上げた。2位と大物賞は47・7センチを筆頭に4・18キロを釣った木村英樹さん(九州)が獲得した。3位には3・28キロの那珂浩一さん(三重)が入った。

「2会場制覇なんて、めちゃくちゃうれしいです」。総合優勝が決まった瞬間、谷さんが目頭を熱くして喜びを爆発させた。上がったのは、イルカ筏の20番。釣り方はシラサエビをまぜたダンゴを中層で割り、その潮下を狙うというもの。刺し餌のシラサを流し込んだり、上下に誘ったりして匹数を伸ばした。「イルカ筏のチヌはダンゴを嫌うと聞いていたので、広角釣法に徹したのが正解でした。思い通りの釣りができました」と振り返る。チヌのかかり釣り歴15年、トーナメント参戦歴7年の谷さんにとって大会での優勝は初めて。試合ではまったく結果が残せず、JFT(全日本釣り技術振興評議会)の全日本かかりチヌトーナメントではフレッシュトーナメント止まり。「感無量です。この優勝をバネにして頑張ります。憧れであり、目標の兼松伸行会長(全日本かかりチヌトーナメント6回優勝、全日本かかりチヌ釣り王座決定戦9回優勝)に少しでも近づけるように苦手なダンゴ釣りも勉強して引き出しを増やしていきたい」。若武者が大きな夢に向かって突き進む。

両エリアともに午前6時~午後3時まで、チヌの総重量と1匹長寸を競った。小浜はカイズ(小型チヌ)の数釣りがシーズンイン。仮屋湾は40センチ級の良型がコンスタントに狙えるという匹数対サイズの戦いとなったが、両エリアともに水温の低下などの理由でチヌの食いが渋く、苦戦する選手が多かった。それでも、ダンゴの濁りを切らさずに広角釣法で丁寧に探った人が上位に入った。総匹数においては小浜で192匹、仮屋湾で31匹のチヌがあがった。開会式、表彰式はインターネットの同時中継で行われ、盛り上がりをみせた。【近江康輔】

◆K-ZERO かかり釣りの名手・兼松伸行氏(日刊FPC)が会長を務める釣りクラブ。ビギナーからトーナメンターまで門戸を開き、釣りクラブや団体などの枠を超えて垣根なしに集まり、かかり釣りの技術発展、親睦を目的に活動している。関東から九州まで10支部がある。各支部の懇親大会のほか、年に3回の黒鯛工房杯が行われており、毎年、秋に総括大会の「K-ZEROフェスティバル」を開催している。