千葉・房総半島沖や茨城・鹿島沖、神奈川・相模湾沖などにヤリイカが回遊してきている。小魚に似せたプラヅノを海中で漂わせて誘って、乗せる。大きな群れに当たれば、50センチのパラソル級も含めて、30~50匹は確保できる。緊急事態宣言が延長されている今、おいしいおかずの調達を思い描いて「ヤリイカ釣り」の基本を学習しましょう。

【仕掛けの準備】サオと電動リールをセットし、道糸をサオのガイドに通したら、プラスチックの筒状になった投入機(釣り宿によって標準装備、または貸し出し)にツノを入れる。ツノは通常5~7本。必ずサオに近い側の筒に一番上のツノから順番に奥の筒に入れていく。一番下(オモリに最も近い側)のツノをサオから最も離れた筒に入れたら、オモリは船べりに置く。この順番を守って入れることが大事。適当に入れると、投入時に仕掛けがオマツリする。

【仕掛け投入】船長の「どうぞ」のアナウンスがあったら、片方の手でオモリを海に目がけて放る。もう片方の人さし指の腹でリールを軽く押さえながら道糸を出し、オモリが着底するのを待つ。時にはロッドキーパー(サオ掛け)からサオを外して手で持ち、穂先を海面に突き刺して垂直にすれば、スムーズに沈められる。

【誘い方】オモリが着底し、糸フケを取って道糸が張ったら、小さくソフトに手首をゆっくり返す程度に、ツノを揺らして誘う。「水深150メートル、反応は底から5メートル」とか「水深200メートルで、底から10メートルまで誘って」などと指示が出る。50センチ刻み(リールのハンドルを半回転程度)に巻き上げ、時には船の揺れに合わせても誘いになる。スルメイカのように、サオをあおって大きくシャクる必要はない。ヤリイカは身がやわらかく、大きなアクションでの誘いはかえって身切れを起こす。

【追い乗り】群れが大きく、活性が高い場合、1匹乗った後に2匹目、3匹目とツノに乗る。これがホントの「乗りがいい」状態。「1匹乗ったと思ったらサオを止め、道糸をたるめたり、シャクったりせずに5秒ほど待ってください。追い乗りしてきますから」(勝山「宝生丸」高橋栄船長=73)。多点掛けすれば、どんどんサオが重くなる感覚がわかる。

【巻き上げ】釣れた時の巻き上げは低速~中速で。「途中で電動のスピードを変えると、違和感を感じたイカがツノを放してしまうし、身切れもする。どれだけ時間をかけてもいいので、一定のペースで巻き取ること」(腰越「森健丸」新倉知船長=58)。サオは手持ちで。巻き上げの途中でロッドキーパーに掛けると、違和感を与えてバラシの原因になる。

【取り込み】一番上のツノが見えたらどちらかの手でつかみ、投入機の最もサオに近い筒の中へ回収。もう片方の手で次のツノを回収する。この繰り返し。途中のツノにヤリイカが乗っている場合、ツノをつかんでたぐり寄せて船内に入れる。次にバケツの上で手首を返せばイカは外れて、バケツの中に入る。そのツノを順番通り投入機に入れる。これがヤリイカ釣りの基本動作。次に仕掛けの投入へと戻る。基本に忠実なら、オマツリすることなく1つの仕掛けで釣り続けられる。

【あるといい物】

◆歯ブラシ イカスミがツノに付着していると乗りが悪くなる。使い古した歯ブラシで構わないので、1本用意する。海水に浸してスミを落とすといい。

◆塗り薬 冬場は空気が乾燥する。ツノの先も鋭く、ついつい手を傷つけることも多い。軟こうなどの塗り薬があると便利。

◆指サック ツノを結ぶハリスが太く、取り込む時に指がこすれる。指の皮が傷むので、サックをしておくといい。釣り用手袋も可。

<“厄介者”サバ対策>

脂が乗った寒サバのみそ煮や塩焼きはうまいが、ヤリイカ釣りでは「厄介者」。ツノに掛かって海中で暴れ回ると、隣の人の仕掛けまでオマツリさせてしまう。

「ブランコ仕掛けを直結仕掛けにすること。あとはツノの本数を減らすのが、サバ対策」(高橋船長)。

宝生丸の常連、浅田金誉さん(62=千葉市)は実際、ツノ2~3本にするという。ツノが多いと、海中で横になってキラキラと目立ってしまうし、落ちるスピードも鈍って、サバが食いやすくなる。「ツノの本数を減らせば、ピンポイントでヤリイカの遊泳層へと落とし込める。乗りだしたら、ツノの本数を増やせばいい」と話す。

ツノの色もある。高橋船長は、「サバは明るい色のツノが好き。水色や黄緑、ピンクなどはダメ。紫系の色を多めにした方がいいでしょう」ともアドバイスしてくれた。