よく肥えた良、大型の寒ヒラメがコンスタントに釣れ続く鳥羽・石鏡沖へ20日、同所の「幸徳丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)の船で出た。残念ながら底潮の動きが鈍く、ヒラメの食いは渋かったが、常連たちは底から1メートル上までを懸命に誘い続け一発大物を狙って奮闘。少ないチャンスをものにし84センチを筆頭に40センチまでを船中で14匹仕留めた。ほかにも65~83センチのメジロやブリが3匹上がった。石鏡沖はヒラメの魚影がかなり濃いので、条件次第では匹数も期待できる。

この時期のヒラメはベイトフィッシュをたっぷり捕食し、脂が乗っていて、食べると抜群にうまい。だが、ヒラメの食い気は潮次第。そうそう簡単には釣らせてもらえない。それだけに粘り強く探り続けた末に仕留めた大物は至極の1匹。今回もそんな釣りだった。朝から底潮の動きが鈍く、65センチの良型ヒラメやメジロなどが姿をみせるが単発で40~50センチのヒラメがぽつりぽつりと釣れる感じ。そんな状況が続いた正午前、サイズアップを狙って水深約38メートルの浅場に入った。

ここは今シーズン、60~80センチ級が数多く釣れており、大物に期待が膨らむ。すると底から1メートル上でゆっくり竿を上下して誘う船尾の仲毅治郎さん(東大阪市)が竿先にコツンと前アタリをとらえた。そして数秒後、竿先がグーンと海面へ。

仲さんが合わせると根掛かりのような重い引きで竿が弓なりにしなる。船内に緊張感が走る中、やや強引に底を切り、ゆっくり引き上げてタモに収めたのは、なんと84センチのジャンボヒラメ。迫力満点の見事な魚体に「これは座布団級というよりも、じゅうたん級やな」と同乗者もびっくり。

「潮が動かないので、竿を引き上げてはゆっくり下ろし、イワシを動かしてヒラメにアピールしたのがよかったみたい。最高の1匹です。船長に感謝ですね」と仲さんが興奮気味に話した。この1匹で船内は一気にヒートアップ。一発大物を狙い、底から少し上を懸命に探るが、その後は朝と同じく40~55センチが時折、釣れる感じで活性が上がらない。それでもいつ食ってくるかわからない大物に備え、常に生きのいいイワシに交換しながらアタリを待つと納竿前に再び大物がヒット。

「幸徳丸で型のいいヒラメがよく釣れていると聞き、やってきた」という山本悦哉さん(生駒市)が72センチを仕留めて大喜び。「底にオモリがついたら、仕掛けを立てるようにしてベタ底を狙っていたら、食ってきた。釣友の仲さんが84センチを釣ったのでお互い大型が釣れてよかった」と笑顔をみせた。

その後も、83センチのブリを釣り上げる人があるなど、悪条件の中でも、釣果は上々。結局、ヒラメは船中で40~84センチが14匹。どれも肉厚で食欲をそそられるものばかりだった。最盛期を迎えた石鏡沖のヒラメ釣り。まだまだ、大物が潜んでいるので狙ってみてはいかがですか。夢がありますよ。【中村和嗣】

◆寺本周介船頭の必釣アドバイス 餌のイワシは弱りやすいので、素早く、針に付けることが大事。親針は上あごにかけ、孫針は背中にしっかり刺し、餌が弱ってきたら元気なものと交換してください。仕掛けは底につけすぎないよう注意することと、おまつりを減らすために、底を切って仕掛けをまっすぐ立てるようなイメージで釣ってください。タナ取りは船頭が指示しますので従ってください。

【今後の見通し】石鏡沖のヒラメは40~50センチがアベレージだが、今季はベイトフィッシュのイワシが多く、2月に入り、80センチ級が4匹釣れており、大型に期待がもてる。潮さえ動けば、ヒラメの食い気が活発になり、群れをとらえれば数も釣れるだろう。釣期は3月末まで。

【問い合わせ】幸徳丸【電話】090・7303・5080。乗合船料金は半日便1万2000円、1日便1万5000円(餌、氷付き)、午前7時半集合。3月から午後便も出船予定、集合時間は午前11時半。同所には「三幸丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)【電話】0599・32・5604もある。

【交通】バスなら、鳥羽バスターミナルから約40分で石鏡漁港へ。車は、大阪から名阪国道、伊勢自動車道、伊勢二見鳥羽ラインを経由。鳥羽IC交差点から国道42号へ。鳥羽駅を過ぎて同167号へ入り、安楽島大橋を渡り県道750号から同128号(パールロードシーサイドライン)へ。約20分走ると石鏡漁港。