「大魔神」こと日刊スポーツのプロ野球評論家、佐々木主浩氏(53)がサンスポ代表でニッポン放送「ショウアップナイター」の実況でおなじみの松本秀夫アナ(59)と、乗っ込みマダイで勝負した。東京湾は横浜・金沢八景「太田屋」(太田一也船長=53)から乗り込み、神奈川・久里浜沖で大物を狙った。昨年から始まったこの企画、佐々木氏の1勝2敗1分けで迎えた2021年初戦は、ビジター(千葉・勝浦興津港「第五庄之助丸」)のマハタ対決で大魔神の勝利。星を五分に戻してホーム戦となった今回は果たして?

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鮮やかな先制攻撃が決まった。大魔神が右ミヨシ(最前方)で掛けた。開始2投目の午前8時30分ごろ、リールから小刻みに道糸を出し入れし、サオを手持ちにして誘っていた。「来たよ!」。しっかり合わせて、満月にしなったサオでマダイ独特の三段引きを確認する。「明確に締め込むアタリが来ました」。

やりとりを隣で見ていた松本アナ、思わず実況を始めた。「勝ち試合の9回限定で投げるはずの魔神が、初回からホームランか?」。浮いてきたのは、1キロサイズの尾頭付きだった。

その後も10時30分ごろに1キロを切るサイズを追釣する。モソモソと居食いしているような感じがしたので、合わせた。「タイめしサイズです。食べたかったから、ちょうどいい」と笑った。

その直後、松本アナが置きザオでトラフグを釣り上げた。「天然物だし、値段はそっちが上だから、今日はマッチャンの勝ちでいいよ」。フグちょうちんのように膨れっ面をする宿敵を見ながら、冗談を飛ばす余裕もあった。

魔神、乗船前から作戦を立てていた。「実釣当日は長潮だから、潮があまり流れない。とにかく、誘いをかけて食わせよう」と判断し、あれこれと動いた。

船の上でサオを大きくシャクったり、道糸を1~2メートルほど引っ張り出して落とし込む。自ら考案して今年2月にヤマシタから新発売された2段テーパー式仕掛け「タイ魔神仕掛SP TMSPシリーズ」を使い、ハリの結び目から30センチほど上に約1ミリ大のガン玉も付けた。こうすると海中で、ガン玉を中心にユラユラと揺れ落ちる。狙う本命の目の前にアピールさせるイメージだ。これに船の揺れも利用した。

一見、豪快に力でねじ伏せる投球の印象が強いが、実は投手という人種、まったく違う。マウンドに立てば得点差、アウトカウント、走者の有無、ボールカウント、相手の打順、相対する打者の過去データ、出塁を許した場合の代打や代走の可能性、相手監督の性格、自軍の守備力などを頭に入れておく。これに内外、高低などのコースと自分の持ち球、さらに当日の調子と相談して、自軍ベンチや捕手とコミュニケーションを取りながら、配球を組み立てる。投球術と同じように、釣りへの総合力が問われる日だった。ちょっとした工夫で釣果に差が出た。

午後1時ごろ、貴重な中押しが決まった。この日最大1・4キロの3匹目。さらに40分後にも1キロを少し切るサイズを追加した。終始「動の釣り」を見せて、あまり潮の流れない状況でも数を伸ばした大魔神、虎退治は果たした松本アナに「4タイ0」と完封勝ちした。

「負ける気がしねぇよ」。帰港後に始まったヒーローインタビューでほえた。開幕ダッシュにつまずき「借金生活」が続く古巣ベイと違い、千葉・勝浦興津港「第五庄之助丸」のマハタに続いて、大魔神は21年連勝スタートだ。【赤塚辰浩】

▼金沢八景「太田屋」【電話】045・782・4657。出船は午前7時15分。マダイ(エサ・氷1個付き)1万1000円、女性9000円、中学生以下5500円。ルアータチウオ(氷1個付き)9500円、女性7500円、中学生以下5500円。午前アジ(エサ、氷1個付き)6500円、女性4500円、中学生以下3400円。アジは午後便(出船午後0時30分)もあり。