<フィッシング・ルポ>
メジナダービー、なんと「戸原家」3連覇! 3月31日、約3カ月実施していた「磯メジナ伊豆半島ダービー」が終了した。期間内にメジナ3匹の合計全長で競うが、今回は1~11位までが3匹とも40センチ超。130センチオーバーも5人と盛り上がった。優勝は、大会最大の47センチを含んで135・3センチを記録した戸原万里子さん(51=東伊豆町)で、一昨年の大親友、昨年の夫と「チームトハラ」で3年連続の1位の座を守り抜いた。
万里子さんの完勝に見えた。1月16日に47センチを釣り上げた。同28日に42・2センチ、2月2日には41・2センチ、翌3日には44・1センチをさらに乗せて、3匹で133・3センチ。ぶっちぎりの首位だった。誰もがこのままの閉幕と感じていた。
どこにでも「あきらめの悪い男」がいる。大沢雄一さん(43=小金井市)だ。ダービー初年度に7位、昨年は5位と着実にアップしてきている。「今年こそ一番上にのぼる」と大沢さんは心に誓っていた。ダービーは伊豆半島3カ所が対象地となる。西伊豆・雲見「佐市丸」、南伊豆・石廊崎「橋本屋」、同・大瀬「倉の下」。大沢さんは状況ごとに釣り場を変えていた。過去2年の経験も生きていた。
天気が荒れたときは風裏に渡れる大瀬を選び、2月は大物が出やすい石廊崎に入りびたった。ただ、深場マニアの大沢さんにとってはドン深のポイントが多い雲見で終盤のビッグヒットをつかめた。3月17日、43・5センチを釣り上げて3匹の合計を133・9センチにして、万里子さんを6ミリ上回った。「このあとも突き放したくて、狙ったんです。通ったんです。でも、もう40センチ超は釣れなかった」と大沢さんは述懐した。
「いやいや、ビギナーズラックだから」と笑顔で謙遜するのは、吉野正志さん(44=八王子市)。アユ釣りのインストラクターも務めるが、3年前、吉野さんいわく「禁断の磯釣り」に手を染めた。メジナ釣りの魅力にまたたくまにハマり、今年1月に中木で初めての40センチ超を釣った。
「こんなに40センチ以上の引き方は違うのか」と驚き、その後、半月ごとに40センチ超を記録した。1月28日に45・7センチ、2月4日に43・2センチ、そしてダービー終盤で44センチを釣って、3匹合計で132・9センチ。あと1歩及ばず3位となった。「でも、念願の40センチ台を釣ることができて本当によかった」と喜んだ。
それでも、もっとハラハラしていたのは万里子さんだったのかもしれない。
昨年の覇者は万里子さんの夫で7位の直さん(57)、一昨年は大親友で、メジナ釣りの時期は戸原家に「移住」する5位唐沢淳一さん(49=藤沢市)。「今年(の優勝)は万里子さんの順番だね」と2人からプレッシャーをかけ続けられていた。実は、今年は仕事の都合もあって、2月19日から3月21日の間は釣りに行けなかった。その間に大沢さんに抜かれてしまった。
「もう、正直、勝てないと思った」と万里子さんは振り返る。そして、運命の3月27日。干潮で潮が動かなかったこともあり、いち早く仕掛けが落ちるようにガン玉を付けてヘチを狙っていた。アタリはあったが食わない。すると、隣で遠投をしていた直さんが「オモリを付けずに落としたら39センチが釣れた」とヒントをくれた。
時間は午後1時30分。30分後には迎えがくる。コマセのオキアミと同じぐらいのスピードで仕掛けが落ちていくイメージで、再びヘチ際に投入した。ガツン! 44・2センチ。3匹合計で135・3センチ。首位を奪い返した。「苦しい。もう、苦しい」と話し「来年はダンナに優勝してもらって、夫婦で3連覇じゃないと」と次の夢を直さんに託した。【寺沢卓】