<フィッシング・ルポ>
15年の友情が優勝魚を引き出した。「2016日刊スポーツ・フィッシング・サーキット」磯&釣具店ブロック金谷クロダイ部門の決勝が8日、千葉・金谷の沖磯で実施された。2月末から今月4日までの予選を勝ち上がった13人と昨年覇者の14人の激しいバトルとなった。残り2時間で47・2センチ(2・13キロ)を釣り上げた川口勇治さん(54=佐倉市)が逆転の初Vを飾った。
「こりゃ、真柄さん、初出場で初優勝だな」。
優勝した川口さんは、決勝戦の折り返しで勝負をあきらめていた。
金谷「岡澤釣具店」の磯クロダイ決勝戦。約2カ月半、予選を行い、その上位13人と昨年覇者の計14人がゴールデンウイークに集結して、その年の金谷磯クロダイのNO・1を決める。クロダイ師にとっては、いつかはつかみ取りたいタイトルだ。
金谷の沖ポイントを午前(午前6~10時)と午後(午前10~午後2時)で入れ替える。川口さんは、真柄勝美さん(50=市原市)が午前に入っていたイタド島小バナレに入れ替えで入った。真柄さんは、エサをオキアミからコーンに変えた直後、午前8時過ぎに44・3センチ(1・34キロ)を釣り上げていた。その様子をイタド島ハナレで目撃した川口さんは「正直、勝てないと感じていた」と振り返った。
川口さんと真柄さんは15年前に千葉・白浜の磯で初対面した。「よくしゃべるお兄さんだなぁ」と川口さんはマシンガントークをする真柄さんをみていた。
その真柄さんは内房・富浦の沖磯を中心に釣りをしていて、今年から川口さんに案内されて金谷の沖磯に渡るようになった。「決勝初出場で初優勝。これを狙っている」と公言していた。その言葉を川口さんも聞いていたので、真柄さんの次にイタド島小バナレを譲り受けても結果は出ないと感じていた。
ところが、磯に当たる潮から、沖に抜ける潮に変化した。川口さんは「イチかバチかで勝負した」とやや離れたエリアに仕掛けを投入した。ゆっくりと仕掛けが落ちたであろう瞬間、ググググググ。確かな手応えを感じて引き寄せるときれいなメスのクロダイが浮かび上がってきた。
真柄さんは「私が足元にコマセをまき続けて、川口さんの釣ったクロダイを引き留めた、と思うようにします」と苦笑い。すると川口さんは「いやいや、実力ですから」と話し、真柄さんと笑顔で握手した。
予定では5日に決勝だったが、4日からの大荒れで延期した。8日も状態としては良くなかったが、3人が釣果を上げた。3位に食い込んだのは小久保郁男さん(68=船橋市)。正午ごろ、ドラ下黒島に入り、28・5センチ(350グラム)を粘って釣り上げた。小久保さんは「オキアミ、さなぎ、コーン、と全部やってみて、オキアミに戻ったら、釣れました」と苦笑いをした。
審査委員長を務めた飯村健治さん(日刊釣りペン・クラブ)は「本当にタフな条件でした。釣れるには理由がある。動かない魚を寄せた人が最終的に結果を残しましたね」と総評した。金谷でのクロダイのシーズンは、ほぼ終わった。来年、また、ドラマが待っている。【寺沢卓】
▼賞 初優勝の川口さんには、優勝クリスタルトロフィーと賞状、そして副賞としてがまかつ提供の高級磯ロッド「がま磯エリネス 15-47」(5万5000円相当)、マルキユー提供の「パワーバッカンセミハード」(7000円相当)などが贈呈された。また、じゃんけん抽せんで、準優勝の真柄さんが「日本全国選べる温泉宿泊券」を、NISSIN提供のロッドケースなどを昨年の岡澤釣具店の年間王者、宇畑さんが引き当てた。