<フィッシング・ルポ>
静岡・駿河湾のアマダイが釣れ始まった。大井川港「海政丸」(望月茂樹船長)では、1月22日から3月12日の50日間で、2匹の合計重量勝負の「アマダイダービー」を開催中だ。15日、その様子をのぞき見してきた。1キロ前後の大物が乱舞。独特の誘いを習得できれば、今からでもダービーへの参戦はできますよ!
海がぺったりしていた。この時期の駿河湾にしては珍しくベタなぎだった。この“のほほん”とした海況が、のちのち大変になってくるのだが…それはまたのちほど。
富士山も雲も何もなくきれいに見えていた。「ああ、美しいなぁ~、富士山」などと世界遺産を眺めているうちにアマダイのポイントに到着した。水深は60~120メートルとまちまちだが、厳しい根は多くない。釣りやすい。
仕掛けは市販のアマダイ仕掛けでもいいが、ムツバリの11号前後で2~3本バリで全長3~3・5メートルにして自作でも楽しいかもしれない。オモリは120号。駿河湾にありがちな速い潮流に負けないためだが、なにしろこの日は“のほほん”とした海況なのだ。
潮がピタリと止まっていて、動いてくれない。アタリがとれない。夏のような日差しがジリジリと頭頂部を焦がす。同時に釣れない焦りもジワジワ心の中で広がってきた。ピンチだ。
周囲をみると、最初から飛ばしている。平均で30~40センチの中型クラスが多い。そこに45センチ(1キロ前後)が交じってくる。タコボウズ記者以外は常連5人。全員がアマダイダービーに登録している。
ちなみに「アマダイダービー」とは、50日の期間内に自分の釣ったアマダイの重さの上位2匹の合計重量で競う。1匹からの更新が可能だ。まだ、名前は明かせないが、トップは1・8キロと900グラムの2匹を釣っているベテラン。
望月船長 いきなり大物が出て驚いた。でも、その後も1キロ超が続出している。まだまだ、期待が持てますよ。
アマダイには体色から、シロアマダイとアカアマダイに分けられる。シロはなかなか釣れないので、1・2倍のポイントが与えられる。つまり、シロを釣りあげれば、上位に食い込む…さらに優勝をもぎ取ることも不可能ではない。
やや脱線したが、この日は本当に苦戦した。通常のアマダイ釣りだと、ハリに付けエサのオキアミを1匹か、抱き合わせで2匹掛ける。着底したら、ハリス分を浮かす。アマダイがガブリ…という筋書きだが、この日はまったくダメ。
隣のお兄さん(いろんな事情があり、顔出し、名前出しNG)にムツバリのお手製仕掛けを借りて、釣り方を聞いた。「着底したら浮かすのは50センチから1メートル未満。それ以上だとアタリが遠のくね」。ハリス分を巻き上げていた。そりゃ、釣れない。
それと、サオを上側にはやわらかくシャクって、探る。ずっと動かしているのではなく、動きを止めたときに食わせるイメージだ。そしてエサ付け。写真のように5~6匹を何の法則性もなくハリにギュウギュウに刺す。海中でのシルエットが大きくなって、アマダイの注意を引く作戦だ。
タコボウズ記者は、止める誘いで1匹をゲット。これは楽しい。この日は船中45匹のアマダイが釣れて、盛りあがった。最大で1・1キロだった。1キロ前後もかなり釣れているので、これからでもダービーに参加できますよ。【寺沢卓】
▼船 大井川港「海政丸」【電話】054・622・2116。アマダイ釣りの乗合船は、午前6時出船、午後1時終了。料金はエサ、氷付きで1万2000~1万3000円。車が便利。東名高速道路の大井川焼津藤枝スマートインターチェンジ(ETC対応車両のみ通行可能)で下車して、大井川漁協のある港。ダービーの参加は、乗船料以外に1人1000円。成績の途中経過は来週発表の予定。