磯メジナ伊豆半島ダービー、大澤さん悲願の初V

大澤さんは、この45・7センチで過去のダービーでの最長記録135・8センチの新記録を打ち立てて初優勝

<フィッシング・ルポ>

 4年越しの念願、かなった! メジナ3匹の合計の全長で競う「第4回磯メジナ伊豆半島ダービー」が2月28日、90日間の熱い戦いに終止符を打った。今シーズンは40センチ超が連日ヒットし、上位5人はなんと130センチ以上だった。優勝した大澤雄一さん(44=小金井市)は第1回大会からずっとトップ10に名前を連ね、年々順位を上げており「ハラハラドキドキだった」と激闘を振り返った。

 大澤さんは安堵(あんど)のため息をついた。3匹合計で135・8センチ。昨年優勝した戸原万里子さん(52=東伊豆町)が記録した135・3センチを5ミリ上回る、大会新記録のオマケ付きの初優勝となった。

 大澤さん 確かに記録は良かったけど、2月14日に45・7センチを出した以降は更新できなかった。46~47センチの記録を持っている人の釣果次第では逆転を食らうのではないか、とハラハラドキドキだった。

 期間を設けて3匹の全長で競うダービー形式に変えて今シーズンで4回目になる。大澤さんはすべてに参加していて10位→5位→2位と常に順位は半減させながら成績を上げてきた。昨シーズンは、1度首位にも立ったが逆転された。その思いが今も残っていた。2位の望月高宏さん(41=綾瀬市)に2センチ差だったが安心はできなかった。

 昨年は風向きによって雲見「佐市丸」、石廊崎「橋本屋」、大瀬「倉の下」を使い分けていたが、今年は橋本屋だけに通って、特に大根で勝負を掛けた。

 大澤さん 風や潮が変わったら、空いていれば別の釣り座に移動できるのが良かった。風が強い日が多かったけど、波っ気があって、メジナの活性もあがったんだと思う。

 追いかける2位望月さんと、3位原田学さん(38=焼津市)は、お互いを刺激することで成績を上げていった。2人ともサンデー磯師で「倉の下」から乗った。互いのことは知っていたが、会釈する程度だった。ダービーが始まって最初の日曜の12月4日、偶然同じ磯に渡された。原田さんがいきなり45・5センチを釣り上げ、望月さんは38・5センチで終わった。ここで望月さんの闘争心に火がついた。

 望月さん タイプは違うけど、潮の見極め方とかコマセの打ち方とか、とても参考になった。で、原田さんと一緒にやるようになった。感謝してます。

 望月さんはオモリをつけて、根の周辺にいる大物をじっくり狙う。一方の原田さんは回遊するメジナを仕掛けを軽くして潮に乗せるようにして食いつかせる。

 原田さん オレね、序盤を突っ走るだけなんですよ。記録は昨年だけで、年が明けてからさっぱり。でも、望月さんと楽しく釣りができたんでよかった。3月は腹のパンパンなのを釣りますよぉ~。

 4位の石塚洋喜さん(42=西東京市)と5位佐藤清久さん(58=松崎町)は、ダービー初参加。石塚さんは残り1カ月となった1月31日、石廊崎・大根テラスで今ダービー最大魚となる47・2センチをいきなり釣り上げた。午前中は大荒れで、正午すぎにポイント移動して、2投目できた。

 石塚さん タイミングがあったんでしょうね。翌日の41・3センチが釣れて一気に上位に顔を出して、2月8日にも44・5センチ。でも、その直後に風邪をひいた。ダービー初参加だけど、面白い。次回は体調を整えて、さらに上を狙います。

 佐藤さんは雲見「佐市丸」の経営する民宿「三楽荘」の厨房(ちゅうぼう)や空調器具の工事や修理をする職人だ。今回は昨年12月26日に40・4センチ、明けた1月8日に45センチ、42・5センチを釣り上げ、さらに2月5日にも45センチ。それでも30センチ台は多かったという。

 佐藤さん 最初はサオは握らずにコマセを打って、エサ取りの魚の動きをみる。これだけでコッパ(小さいメジナなど)を掛けることも少なくなる。でもさ、これからメジナも太ってくるから3~4月は面白いかもよ。

 そして最後に大澤さんは言う。「山本一人船長が、私に合ういい磯を選んでくれた。ありがたいです」と話し「なるべく連覇できるように頑張ってみます」と笑顔をみせた。【寺沢卓】

 ▼ルール説明 昨年12月1日から今年2月28日までの90日間。期間内に釣ったメジナ3匹の全長で順位を決定する。期間内であれば何度でも挑戦でき、1匹からの入れ替えが可能。優勝した大澤さんには、賞状のほか、名前入りのウイナーズブルゾンや豪華副賞が贈呈される。同じく10位以内にも賞品が贈られる。競技は開催3地区どこからでも乗ることができるが、賞品は最初に登録した地区に送付される。なお、飛び賞は3匹をそろえた下1ケタ「7」(競技を終了したのが2017年なので)の選手が対象となり、3人の15位(斎藤庸三さん、熊川武司さん。川村芳則さん)、2人の27位(吉泉渉さん、安富秋夫さん)、37位(伊藤克浩さん)、47位(中村元さん)に、こちらも宿から手渡される。