船釣りダービー優勝者決定!カレイ、ヒラメ大物続々

昨年12月9日、イシガレイ66センチをヒットした仙台市太白区の沼田さん

 日刊スポーツ新聞社指定「東北釣り共栄会」の加盟各店で開催していた「2016年度日刊スポーツ盾争奪・船釣りダービー」(別表参照)の優勝者が決定した。開催3年目の本年度は、それぞれカレイ、ヒラメ、マダイを対象にして5大会で激戦を展開。各優勝者には日刊スポーツ新聞社盾とオリジナルジャンパーが贈られる。

<善松丸カレイ釣りダービー◇16年4月1日~12月30日◇カレイ類1匹の全長>

 釣り歴30年以上の沼田長遠(ひさお)さんが昨年12月9日、通い慣れた仙台湾・大型魚礁沖でイシガレイ66センチをヒット。善松丸の年間釣りダービーの第3代目王者に輝いた。もはや数釣りや大きさにはこだわらない今年76歳の太公望。「同じような大きさは前にも釣ったことがあるかもしれない」と平然と振り返った。

 大物釣りのコツは「魚に聞かないと分からない」と、あくまでも自然体だ。ただ「エサ(アオイソメ)はたっぷりとつける。動きが大事だと思うのでこまめに取り換える。無くなるのが早いので2本バリにしている」と全長70~80センチの片テンビン2本バリ仕掛けを愛用。「手ごたえを楽しみたいので電動リールは使わない」と魚との駆け引きを大事にしている。

 カレイのほかにメバルやヒラメ、夏場からの青物(回遊魚)釣りと、仙台湾全体をホームグラウンドにして季節の釣りを楽しんでいる。船の揺れも適度な運動になり、潮風も健康を支えてくれる。「釣った魚を人に配れば喜んでもらえる。何よりも楽しむことが大事だよ」と太公望の心意気を示した。

<謙信丸カレイ釣りダービー◇16年4月1日~12月30日◇カレイ類1匹の全長>

 仙台市若林区の佐々木弘知さん(62)が昨年7月24日、仙台湾・閖上漁港沖でイシガレイ60センチをヒットさせて年間優勝を決めた。船釣り歴20年以上。謙信丸の常連でシーズン中は同船の手伝いを兼ねて週末ごとに釣行。この日は終了間際、船尾・スバンカー(帆)下で自己記録に2センチ差の大物を釣り上げた。

 海底から浮かせたエサ(アオイソメ)に跳びつくような激しいアタリ(魚信)と独特の引き味。「イシガレイだ」と確信し、自身、東日本大震災後初になる60センチをゲットした。「アタリがダイレクトで合わせやすい」と全長30センチの短めの片テンビン2本バリ仕掛けで攻撃的な釣り方を実践する。「下手の横好きです」と謙遜するが、「手返し良く丁寧に釣ること」を心掛けている。さらに「小突き方(誘い方)には5パターンある」と持論を展開。季節や釣況に応じてバリエーションを使い分けている。「家族が食べてくれて、近所に配っても喜んでくれる」。一挙両得の釣りを楽しんでいる。

<大海丸ヒラメ釣りダービー◇16年6月1日~12月30日◇ヒラメ1匹の全長>

 仙台湾・荒浜漁港(亘理町)沖で昨年10月15日、92センチ(7・1キロ)をヒットした荒井秀俊さん(41=仙台市泉区)が年間王者に輝いた。この日は乗船20人で計85匹が乱舞。会心ヒットは船中最大に加え、船釣り歴12年の自己ベストになった。

 午前11時前、愛用する1・6メートルのショートロッドに衝撃が走った。水深30メートルライン。海底から仕掛けを約3メートル上げていた荒井さんは「いきなりドーンときたので荒い根に当たって根掛かりしたのかと思った。でも手で糸を引っ張るとモア~とタコのように上がってきた」と振り返る。道糸はPE(新素材ポリエステル繊維)1・5号。暴れる様子もなく、約10分後に浮上した座布団サイズに驚愕(きょうがく)した。取り込みに手間取っている姿に、いつも冷静な山川大海船長(35)も慌ててタモ(玉網)入れした。釣行後は行きつけのすし店に持ち込み、ヒラメざんまい。あまりの大きさに荒井さんは「食べ過ぎて体調を崩してしまいました」と苦笑い。薫製器も自作する味覚ハンターは「次はメーターオーバーを目指したい」と夢を広げた。

<晋漁丸ヒラメ釣りダービー◇16年5月1日~10月30日◇ヒラメ2匹の総全長(期間中何度でも入れ替え可)>

 宮城・塩釜市の小原伸晃さん(45)が2匹合計173センチで初タイトルを獲得した。昨年6月26日に83センチをヒット。続く7月8日に90センチジャストを仕留め、総全長で2位以下を3センチ振り切った。10月下旬のダービー締め切りまで約4カ月間、追われる立場に立たされた小原さんは「毎週ドキドキでした」と逃げ切り優勝を喜んだ。

 勝負を決めた90センチは、それまでの記録を3センチ上回る自己ベスト。仙台湾・大型魚礁沖で午前9時すぎにヒットした。阿部裕船長(60)の「優勝を狙うなら90センチは必要だね」という言葉に発奮。「じゃあ、今釣るよ」と直後に有言実行した。親戚も遊漁船を経営し、「小学5年のころから船に乗っている」というベテラン。水産関連の自営だけに魚の扱いはお手のものだ。家業さながら、昨年は計57回(日)も晋漁丸に乗船し、「100匹以上釣ったかな」というヒラメの天敵。「まだ誰もしていないので、今年は2連覇を目指したい」と大会連覇を目標に掲げた。

<鯛紅丸マダイ釣りダービー◇16年6月1日~12月30日◇マダイ1匹の全長>

 地元、新潟市江南区の井浦康晴さん(62)が昨年9月11日、新潟東港沖の水深80メートルラインで84センチ(7・2キロ)をヒット。後続2人を2センチ上回って初優勝した。

 すでに2キロ級を確保していた正午すぎに船下、約35メートルのタナでヒットした。仕掛けはクッションリーダーにハリス5号・10メートル、小ダイバリ12号をセットしたビシ80号の片テンビン2本バリ。井浦さんは「弱いアタリ(魚信)でしたが、“主”だからね」と約15分間のやり取りを楽しんだ。

 新潟県内で見附ショッピングセンター(見附市)などの大型ショッピングセンターの開発や運営に携わっているマックス開発の代表取締役社長。主にマダイやヒラメを狙って、シーズン中は週1回ペースで「釣り場開発」を行っている。船釣り歴15年で昨年春にマークした75センチを上回る自己記録更新。だが「(大きさは)あまり意識していない。おいしい魚が食べたいだけ」と釣行後は、新鮮な獲物を親戚や知人にも配り、喜ばれている。