川崎 初めての釣り 子供たちがアジで船デビュー

最後は3人並んで「やったね」。前列左から美結ちゃん、夏生くん、大輝くん。大漁旗の左端がマキちゃん、右端がヒロちゃん

<釣りをしようよ プルルン体験隊>

 初めての釣り、アジで船デビューしちゃう? 今、ちょうどアジが釣れている。コツさえ覚えれば初心者でも簡単に釣れますよ。船酔いがなければ、ボウズ(釣果ゼロ)になる方が難しいぐらい。5歳の女の子が、お兄ちゃん(7歳)にくっついて川崎「つり幸」にやってきた。子どもの初釣りには何が必要? 4つの鉄則をよーく読んでね。

 4月15日。7歳の伊東大輝くんには、大きなミッションがあった。

 「お母さんが大好きなイシモチを釣りたいの。4月15日がお誕生日なんだ。お小遣いを少しずつためて、釣りに行くお船に乗れるように何も買わずにガマンしてるんだ」

 釣り仲間のイラストデザイナーのマキちゃんから「タコボウズさん、友達の子どもの大輝くんから、お母さんには内緒でこんなお願いをされました。手伝ってもらえますか? タコさんは、一応、伝説の漁師の設定にしてます」。えっ!? ムチャぶりもいいところだ。ただ、釣り人が増えるなら、ひと肌脱ぎましょう!

 で、15日。大輝くんの親友の小山夏生(なつき)くん(7)も「おばあちゃんが泊まりにきているから、おいしい魚を食べさせたいなぁ」と、これまた、ばあちゃん孝行な発言。そして、大輝くんの妹美結(みゆい)ちゃん(5)も「私も釣りするぅ」とついてきてしまった。そこで、マキちゃんの友人ヒロちゃんにもお手伝いしてもらうことになった。これでタコボウズ記者を入れて大人3人、子ども3人になった。

 鉄則(1) 子ども1人に大人1人 最初の釣りで退屈してしまうと、子どもの場合、次はありません。初めての釣りで子どもは、ワクワクしながらも不安な気持ちでいっぱいです。常に目を離さず、必ず隣にいて手をかけてネ。くれぐれも自分が夢中になって、子どもを放っておかないように。

 この日は朝ベタナギだったけど、時間を追うごとに風がビュービューに。そんな中でも子ども3人は、へっちゃらだった。事前にマキちゃんが“魔法”をかけていた。

 鉄則(2) 酔い止め薬は寝る前と乗る前の2回 船酔いすると、その気持ち悪さだけが記憶に残ってしまいます。前夜布団に入る前に服用しておくと、眠っている間に体に薬が効いていきます。さらに乗る前に飲んでおくとさらに効果があがる。今回の子ども3人には、薬を2回飲む“魔法”をかけておきました。

 アジはタナ(魚の泳層)を的確につかめば、じゃんじゃん釣れます。だいたい底から1~2メートル。そうそう、釣り道具はレンタルできるし、仕掛けも1組(2個)は料金内です。魚を入れるクーラーボックスと子どもが飽きないようにお菓子を持ってきてくださいね。

 釣りはタナをみつけたら、コマセを振って魚を集める準備ができたら、待つ。

 鉄則(3) ジッとして動かない 子どもは常に動きたがります。ただ、ずっと動いている仕掛けは警戒して食いついてきません。静かに待っていると突然プルルンと手に独特の感触が伝わってきます。普段、落ち着きのない子どもも、このプルルンを味わうと、見違えるように静かに集中できるので、何かが成長するかもしれませんよ。

 子ども3人も絶好調。特に美結ちゃんはお母さんが大好きなイシモチが気に入ったようで、釣ってバケツに泳がせている状態を手づかみ。何も怖がっていない。「釣り、面白い。みいたん(自分でこう呼ぶ)もっと釣りたい」と、握ったサオを離そうとしない。将来は釣りガールだな。

 鉄則(4) いざという場面は大人が補助 体格差や体力差もあるので、取り込みは大人がやって「すごい、釣れたねぇ」と、ほめながらその気にさせてください。器用で何でもすぐできる子どももいますが、いきなりいろいろはできません。1つずつゆっくりと。楽しい記憶をいっぱいつくってくださいネ。

 途中、食い渋る時間帯があったものの、3人でアジ34匹、イシモチ7匹。初めてにしては大漁でした。それぞれおうちに持ち帰り、おいしいアジ&イシモチパーティーができました。大輝くんと美結ちゃんのお母さんは「子どもが内緒でこんなこと。うう(涙)。しっかり揚げた骨せんべいも全部食べちゃいましたね。とても幸せな誕生日になりました」とうれし泣き。夏生くんも家族にほめられて「いつかはマグロを釣りたい」と夢が広がってきたようですよ。【寺沢卓】

 ▼船 川崎「つり幸」【電話】044・266・3189。通常のアジ船は、午前6時50分と午後0時30分出船。氷とエサ付きで6500円、女性と中学生以下は3500円。