宮城・南三陸 マダラ9・2キロ、パワー勝負

木村さん、9.2キロを釣り上げた。座ったまま立ち上がれなかった

<フィッシング・ルポ>

 夏のマダラ-絶品なんです。宮城・南三陸「三浦屋」では、港から約1時間の水深約230メートルのポイントでヒットする。先日、マダラ釣行があり、船中でトップはなんと30匹、最大は9・2キロが釣れた。さらに食してみると、甘~い白身を堪能できた。夏ダラ、恐るべし。

 東京から車で約5時間。宮城県南三陸町・戸倉港。崩れた防潮堤がオブジェのように残っていて、新しく作られた船を寄せる岸壁が夏の日差しでまぶしく光る。6年半前の東日本大震災のツメ跡と、再生に向けた息吹を同時に感じることのできる港だ。今回は冬の魚とばかり思っていたマダラを狙う。

 “海の森”とも呼ばれるアマモの移植運動に熱心な海洋環境専門家で、日本テレビ「ザ!鉄腕!DASH!!」にレギュラー出演する木村尚(たかし)さんに東北まで同行してもらった。

 木村さん 夏のタラでしょ? 興味ありますよ。ただ、味はどうだろうか? まずは強烈な引きを感じたいですね。

 現場までは約1時間。仕掛けをチェックした。ムツバリ22号を5本バリの胴付き仕掛けで狙う。オモリも300号とかなり重い。パワー勝負だ。負けない仕掛けでマダラを引っこ抜く。ほぼ向こう合わせ。塩釜「えびす屋」でいただいた冷凍サンマを細長く切って垂らす。準備は万全だ。

 釣り開始。木村さん、最初は釣れなかった。底から浮かせ過ぎたようだ。船中ではあちらこちらで2~3キロ前後の“小ぶり”なマダラが上がった。三浦明船長は「まんだ、まんだ、こんなんじゃねぇよ。夏のマダラはよ、腹ん中さキク(白子)や卵を抱えねぇがら、身に脂が回ってでっぷりしてんのよ。こんなんじゃねぇ」としみじみと話した。

 3投目で底スレスレのタナ(魚の回遊層)であることに気付いた木村さん、こまめに電動リールを動かして誘った。サオ先がブルン、ブルルン。激しくノックした。マダラだ。ギューンと、巻き上げると5本バリに2匹。エンジンが掛かってきた。

 写真を何枚かおさえ、タコボウズ記者も安心してサオを出した。着底して底をトントン。ん? 急に下がる。4メートルは沈む。底は平らではない。タナがぼけるのは、これか。気付いたら底から5メートル浮いたままで、マダラに何もアピールできないということになりそうだ。“底トントン”が釣果を左右しそうだ。

 木村さんのサオがしなった。電動リールも音ばかりでなかなか上がらない。10分ほどのやりとりで上がってきたのは9・2キロ。デカい。よく見るとマダラの顔、下アゴにチロリンとしたヒゲのようなものがある。あいきょうがある。

 木村さん 顔ほど引きはカワイクない。マダラとのやりとりはたまらんね。

 木村さん9匹でクーラーが満杯となり終了。タコボウズ記者も8匹。「こんぐらいにしといたる」と満足の釣行だった。船中では30匹がトップ。すげぇ。

 今回のベース地・塩釜に戻ってJR本塩釜駅からすぐの居酒屋「かじきや」でさばいてもらった。

 木村さん 本当にごめんなさい。何でこんなにうまいんだ。こんな素晴らしいマダラに初めて会った。きっと金華サバを食べて、すべて身なので、いい脂が回るんでしょう。夏のマダラ、刺し身も焼いても唐揚げでも、キモを潮汁にしたけど、すべておいしい。みくびっていた。感動した。

 夏のマダラ、絶品なり。東北まで遠征する価値、ありますよ。【寺沢卓】

 ▼宿 南三陸「三浦屋」【電話】0226・46・9339。マダラの乗合は不定期。午前4時集合、料金1万2000円。ほかにヒラメ(5日開始)、夜アナゴ、仕立てでマコガレイ出漁。車のナビは「宮城県南三陸町戸倉字戸倉5の5」で港に。