波多選手、念願の初優勝 全日本がま磯チヌ選手権

優勝の波多選手(中央)準優勝の久保野選手(左)3位の川上選手

 チヌ(23センチ以上)の総重量を競う「第36回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権」(主催・(株)がまかつ、共催・GAMAKATSU PTE LTD)が9月4、5日、岡山・倉敷市下津井の磯を舞台に全国の予選を勝ち上がった35選手(シード、推薦含む)が参加して行われた。2日目、波多瑞紀選手(37=シード)と久保野孝太郎選手(推薦=48)が福部小島の南向きで戦った決勝戦は、両者釣果なしに終わり、準決勝の成績で波多選手が念願の初優勝。4大会連続で表彰台に上がる前人未到の快挙も成し遂げた。3位には、川上修治選手(今治沖1=37)が入った。

 少年のころに夢見たものが最高の形でかなった。G杯の優勝カップを両手で持ち上げ「これまでの道のりが断片的によみがえってきます」。波多選手が表彰台の頂で達成感にひたった。

 G杯を目指したきっかけは中学生の時に師匠でがまかつ愛好者の三宅秀雄さんと出会ったことだった。

 G杯の競技における魅力を熱く語る三宅さんの姿に「自分もいつか全国大会に出場してみたい」という夢を抱くようになった。

 それ以来、師匠の指導を受けながらチヌ釣りに没頭。そのころに買った「がま磯タモの柄R」はキズだらけになった今でも「大切に使い続けている」。

 2回目の全国大会(33回大会)では名手・南康史選手との決勝戦まで上り詰めたが「夢のような出来事の連続で、なにをやっているのかわからなかった」というほど緊張して完敗。G杯史上最多となる4勝目を飾った南選手の大きな存在を目の当たりにした。それでも、34回大会では3位、35回大会は準優勝と、3度も表彰台に上がるまで実力をつけていった。優勝を逃すたび、悔しさよりも「もっともっとうまくなりたい」という気持ちが込み上げ、自分にないものをどん欲に吸収。弱点だった軽い仕掛けの操作や、なぎさ釣りの克服のため地元や下津井の砂浜に通い続けた。

 今回は久保野選手と決勝を戦ったが、両者釣果なし。準決勝の成績で勝敗が決定された。準決勝では前回の覇者・藤井夢人選手(シード)となぎさ釣りで対決。「前半終了10分前で潮の流れが反対になり、沖に向かって少し開いた」一時のチャンスを見逃さずに1匹(860グラム)対0匹で快勝。川上選手と戦った久保野選手は0匹対0匹だっため、波多選手が念願の初優勝を獲得した。

 この快挙は「いつも応援してくれる妻と子どもたちにささげたい」。反省点は予選をワイルドカードで勝ち上がったことと、決勝戦で規定のチヌが釣れなかったこと。「次々に変わる釣り場の状況にすぐに適応できるようになりたい。遠投釣りの精度を高め、あらゆる釣り場で釣果を出せるようにしたい」とさらなる成長を誓った。【近江康輔】

 ◆波多瑞樹(はた・みずき)1980年3月18日生まれ。竹原市在住。会社員。チヌ釣り歴22年、ホームは広島芸予諸島。GFG広島支部西部青年部長。

 ◆2位・久保野孝太郎選手 チヌの食いが渋く、潮の中を大遠投で攻めたが、だめでした。運だけでは一番上には上がれないですね。来年もこられるのがうれしい。

 ◆3位・川上修治選手 予選で3連勝した深ダナのまま、決勝トーナメントを戦ったがダメだった。久保野選手との準々決勝では3匹釣ったが、規定サイズよりも小さかった。あと2センチ大きかったら…

<大会経過>

 初日の予選リーグは午前5時30分から35選手が6組に分かれ、下津井沖一帯の磯で1試合2時間の4回戦を戦った。水温が高いせいか、チヌの活性が上がらず、苦戦する選手が多い中、各組トップと各組2位の中からワイルドカードとして成績上位の2人が決勝トーナメントへ進出した。

 翌日の決勝トーナメントは午前6時から、牛島の地蔵の浜、三ツ子の西、ナベ島の南、本島の黒鼻の西で準々決勝、カブラの北の浜、亀山鼻の南で準決勝が2時間ずつ行われ、波多選手と久保野選手が決勝へ勝ち上がった。名手・南選手(推薦)は「釣りきれなかった」と敗退した。

 決勝戦は午前11時25分から福部小島の南向きで2時間戦ったが、両者釣果なし。準決勝の成績で波多選手が念願のG杯を手にした。3位決定戦はカブラ崎の北で川上選手と藤井選手が戦い1520グラム(2匹)対800グラム(2匹)で川上選手が3位に入った。