西伊豆 哀川翔イカ劇場 プラヅノで釣るヤリイカ

サカナバリ、優秀じゃないか。船中1匹目だぜ!

 2018年が明けました。釣り特集紙面は、引き続き火曜と金曜の宅配版でお届けします。今年は新春特別企画として“アニキ”こと俳優で釣り人の哀川翔(56)が、5日と9日の2回連続で登場します。両日で紅白のおめでたい獲物を紹介いたします。まず初日は、昨年の大みそかに紅白歌合戦で勝利した白組にちなんで、西伊豆のヤリイカ。いかに11センチのプラスチック製の「ツノ」に抱きつかせるか-。アニキのイカ劇場、スタート!

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 気持ちのいい夜明けだ。雲ひとつなく海の向こうに富士山が見えている。西伊豆・久料からの富士山だ。久料は不思議な漁港で、浅いエリアがずっと続いていて、けっこう大きなマダイが釣れたり、イナダ&ワラサなどの青物も相当数回遊して、ヒラメの泳がせ釣りなんぞも楽しめる。

 そこにデーンと構えているのが「魚磯丸」だ。オレからの説明もいらないだろう。久保田清船長は、オレの愛用するマダイザオをつくってくれた人物で、このサオが、獲物が掛かったときのしなりや、握ったと同時に手にぴったりとフィットする感覚が絶妙なんだ。お客ひとりひとりに配慮がきくんだな。それがベテランだけじゃなくて、釣りの素人さんも多い裏付けなんだろう。

 さて、今回はイカ釣りだ。今の時期、ヤリイカは、とってもおいしくなる。ここのヤリは本当に大きくなって、全長50センチは珍しくない。そんなデカいヤリを探しにやってきた。当初は、夜釣りだったが、釣行前日に朝便に変更された。どうやら荒れる予報のようだった。昼のヤリ、いいじゃないか。燃えてきたぜ。

 やはり海は荒れていた。駿河湾のど真ん中、石花海(せのうみ)がメインの漁場となるが、この波では近寄れない。そんなときでも久料の場合、大瀬崎まで足をのばせば、ヤリイカのいるポイントにたどりつく。水深は70~90メートル。電動リールがなくとも勝負できる深さだ。今回は久保田船長のアドバイスからヤマリアの6本バリのプラヅノを使うことにした。

 見た目は華道で使う「剣山(けんざん)」のような、カンナと呼ばれるハリがついたプラスチック製の道具、それがプラヅノだ。ヤマリアのプラヅノは細長いサカナのようで、通称サカナバリなどと呼ばれている。

 今回の釣行は荒れた海もあったので、獲物が取れたら終わろう、延ばしても午前10時には上がろう、と申し合わせをしていた。自然には勝てない。風と波に逆らっちゃいけない。それが海の掟(おきて)だ。

 底をとったら、大きくシャクって、サオ先を落とす。10メートルほど上げたら、また底に落として誘う。何度か試したが、ツノに乗らない。もしかして、底にはりつくようにジッとしているんじゃねーか、という仮説を立ててみた。もしそうだとすると、10メートルの意味はない。

 そこで「底付近でブラブラ」作戦を思いついた。着底したらリールはチョコっとだけ回して、底面でアピールさせる。いくら何でも底にいるヤリイカだって、すぐ上でキラキラしていたら抱きついてくるだろう。やってみるとすぐ反応が出た。サオを上下にアクションをつけて、サオを上に振りかぶろうとすると、重みを感じる。これがヤリイカのアタリだ。そのままテンションを保ったまま、上げてくる。海面から飛び出した瞬間、水を吐いて、スミをブチまけた。

 船中1匹目。オレ、なかなかやるな(笑い)。

 底付近でブラブラ作戦でなんとかゲットできたので、船中みんなでブラブラをしてみた。すると、次々に乗り始めた。

 ヘアメークアーティストのノブちゃんにアタリがきた。しかし、そうは感単に乗ってこない。右舷トモ(船尾)の沢田(ヤマリア)が50センチ級を抜き上げた。ノブちゃんの弟子ブチも、デカいのをヒットさせた。ちょっと時間をおいて福岡のミュージシャンYOSHIが2匹だったが、途中で1匹に逃げられた。そして、イカ釣りが大好きなエージも一荷、松本(ヤマリア)も2匹つけてきた。

 船中16匹となったところでちょうど午前10時。波も荒くなってきて、安全第一で帰港した。ヤリイカ、いいね。これからだよ、これから。

 ▼船 久料「魚磯丸」【電話】055・942・3230。ヤリイカ乗合船は、大瀬崎周辺の朝便が午前6時出船で1万円。夜便は午後4時出船で9000円、夜便到着と入れ替えの深夜便は、午後11時出船で1万円(帰港は翌午前4時ごろ)。石花海への遠征便は、午前4時30分ごろ出船で1万4000円から。料金はすべて氷付き。必ず予約を入れてください。

東京釣り3