静岡・伊豆半島 白樫さん40センチ超連発メジナ王

2月9日 親島で41・6センチ

 初参加でメジナ王になった! メジナ3匹の合計全長で競う「第5回磯メジナ伊豆半島ダービー」が3月31日、終了した。熱戦を制したのは、昨年4月に単身赴任で東京暮らしをスタートさせた白樫(しらかし)悟さん(57=板橋区)で、10年前の縁から石廊崎「橋本屋」を訪ねて、気軽な気持ちでダービーに参加した。得意の足元への落とし込み釣法で40センチ超を連発して勝利を引き寄せた。

 白樫さんは、夏はアユ、寒くなってくるとメジナを追い掛ける1年を30歳を過ぎたころから続けている。中学生までは、今大好きな釣りが「いやでいやで仕方なかった」と振り返る。

 釣りは父親が大好きで「一緒に来い」とほぼ強制的に連れていかれた。友だちは楽しそうな遊びをしていたのに「何でオレはオヤジと好きでもない釣りなんぞ」との思いが心の中を渦巻いていた。

 その反動で、20代では映画などの影響もあり、雪山に入り浸るようになり、スキーに熱中していた。ところが遺伝なのか20代が終わろうか、というころになって釣りに目覚めてしまった。恨みの対象だった父親とも釣りに行くようになり「何がどう転ぶのかわからん。釣りに戻ることができてよかった」と白樫さんは笑顔をみせた。

 白樫さんは京都府在住で、釣りの主戦場は和歌山&三重。強風と、当て潮(沖から向かってくる潮)とどう仲良くなれるか、がメジナ釣り攻略のポイントになってくる。

 白樫さん この当て潮にどう対応するか。誰も教えてくれないし、自分でいろいろ工夫して対処するしかない。ほぼ独学ですわ。

 昨年4月、家族を京都に残して、東京への異動を会社に命じられた。2007~08年に釣り具メーカーの全国大会で、決勝大会に進出する予選会が石廊崎で実施され、そのときに「橋本屋」から渡船した。見事に1位通過した。

 白樫さん 関東の渡船宿は橋本屋しか知らんかったから、単身赴任やし、もう通いました。40センチ台を釣ったときに山本一人代表からメジナダービーの存在を聞かされて、面白そうやな、と思って参加することにしました。

 白樫さんの釣果は断トツだった。3匹で127・2センチ。2月9日に親島で41・6センチ、同20日も同じく親島で43・6センチ、さらに終盤間際の3月19日に42センチ。2位以下に3・2センチ差の強さだった。すべて当て潮の釣りで釣り上げた。

 白樫さん 足元にデカいメジナがいることは分かっている。沖からくる当て潮に仕掛けを乗せて、コマセも沖に投げてうまくメジナのタナに届かせる。アタリは極小。でも、その薄い情報の中から釣りあげる。たまらんですね。

 厳しい状況下で大きいメジナをあげる快感。山本代表は「10年前のこともよく覚えている。白樫さん、温和で静かにしゃべる。冷静に潮況を分析できる。初優勝おめでとうございます」とうれしそうに話した。

 白樫さんは「オヤジに反目したころもあった。でも、釣りは自然とどう語らうか。厳しくても打開策は何かある。だから、釣りは楽しいんですよ」と語り「今年末のダービーもまた出ます。負けないようにしないと」と連覇をにおわせた。【寺沢卓】

 ◆ルール 当初、漁期がズレることを考慮して、雲見「佐市丸」2017年11月11日から2月8日、石廊崎「橋本屋」、大瀬「倉の下」は12月1日からの2月28日のすべて90日間をスライド開催で実施する予定だった。しかし、強風による天候不順で渡船できない日が続き、会期を3地区ともに3月31日に延ばすことに決めた。最終的に参加者は35人。メジナ3匹の合計全長勝負。期間内においては、1匹からの入れ替えが可能。