千葉・金谷 クロダイ 真柄さん49センチで初栄冠

決勝進出14人中8人が釣果を記録した。前列中央が優勝した真柄さん

<磯&砂浜&堤防パラダイス>

 「2018日刊スポーツ・フィッシング・サーキット」磯ブロック金谷クロダイ部門の決勝が6日、千葉・金谷の沖磯で行われた。2月3日から今月5日まで1匹全長で勝負する予選を勝ち抜いた14人が集結し、腕を競った。海況は大荒れ。前後半で2つの磯に渡る従来ルールを変更して、「できる時間まで1つの磯」とした。49センチを釣り上げた真柄勝美さん(52=千葉県市原市)が初の栄冠を引き寄せた。

 イタド島小バナレに忘れてきた優勝を、イタド島で奪い返した。検量後、49センチの優勝魚を突き出して真柄さんは「3連覇を阻止できた!」と叫んだ。

 2年前、真柄さんは磯仲間の川口勇治さん(56=千葉県佐倉市)に誘われて、金谷の磯に通うようになった。2月に開幕して約3カ月の長い予選期間を戦う。勝負はクロダイ1匹の全長。前年優勝者に出場シードの特権はなく、その年の成績上位14人だけが決勝に進出できる。単純明快。その魅力のとりこになった。

 決勝ルールは、前後半に分かれて、2つの磯で釣りをして、1匹全長で争う。初参加した2016年は、イタド島小バナレに乗っていきなり44・3センチを釣り上げた。「初出場で初優勝」を公言していて、真柄さんは「これ、有言実行じゃないか」とその気になっていたが、後半で同所に入った川口さんに47・2センチを釣られて、2位に終わった。初Vがするりと逃げていった。

 昨年は予選12位で滑り込み、決勝では釣果はなかった。川口さんは2連覇を達成。その分、真柄さんは今年、気合が入っていた。イタド島小バナレに入りたかったが、強烈なうねりの影響でイタド島にしか上がれなかった。ポイントを選ぶクジは14人中14番。「まさか希望通りのイタド島が残るとは。残り福ですね」と、真柄さんは笑った。

 イタド島北側のクジラ島に向かう潮に乗せて、アタリを待った。クジラ島は大きなクロダイが釣れるポイントだが、クジ運で入れた人が有利すぎるため、決勝では入れない。仕掛けを投入してすぐ「7時30分にアタリがあって、プカリと魚が浮いた。大きいクロはすぐに海面に姿を見せる。50センチ近いと視認できた」と振り返った。

 準優勝は、平島に入った佐藤弘一さん(54=千葉県流山市)。荒れた海に対応して2つのタナを狙った。波がぶつかってできたサラシが目の前にあった。底は砂地で根掛かりの心配はない。「サラシの下は2ヒロ(約3メートル)、砂地は4ヒロ(約6メートル)で使い分けて、ともに3頭目で1匹ずつキャッチできた。砂浜が47センチ。サラシも45センチぐらい。気持ちのいい釣りができましたよ」とニコニコ顔だ。

 3位は、水原晶二さん(53=さいたま市)。8匹釣って決勝最多記録を塗り替えた。希望したドラ下本島に入れた。コマセを投入する前に1匹釣れた。「活性が高いぞ」と判断し、入れ替えのない短期勝負だったこともあり、とにかくコマセをまいて魚を集めた。泳ぎ回るメジナのタナを先取りして、ハリスも1ヒロ半(2メートル強)~3ヒロ(約4・5メートル)を使い分けた。「うまくいった。今年は予選もトップ通過(53センチ)できていいシーズンでした」とご満悦だった。

 今季のクロダイは、過去に例を見ない大型が釣れまくった。何年生きているのか判別しにくいということから、50センチ超のクロダイは「年無(としなし)」と呼ばれる。

 決勝競技委員長の鵜澤政則さんは「底の潮が冷たくて、沖から入ってくる暖かい潮に乗って、大型が岸際に集まってきたのかも。それにしても、予選上位の9人までが年無。まだ、今の海ならクロ勝負できるね。真柄さんは少ないチャンスをものにできたね」と分析した。

 副委員長の飯村健治さんは「最初は午前9時半上がりも考えたが、意外にもってしまった。14人の選手を乗せて港に戻ってきてから、風が急に強くなった。岡澤裕治船長の判断もナイスプレーだった」と話した。

 例年では、この決勝でクロダイは幕引きとなるが、今年は終わらない。真柄さんらグループは20日に、鵜澤さんも来月初旬に訪れる予定だ。「いけるところまで、大きな沖磯のクロダイを狙っていきますよ」と、岡澤船長は気勢を上げた。【寺沢卓】

 ▼宿 千葉・金谷「岡澤釣具店」【電話】0439・69・2232。渡船は午前5時30分で、戻りは午後1時と同4時の2回。渡船料金は4000円。エサは各種あり。要予約。