東京湾、駿河湾で180人参加マダイダービー決着

4月24日、富浦「共栄丸」午後便9・65キロ 藤室日出樹さん

<フィッシング・ルポ>

 今年の桜鯛(さくらだい)はちゃんと乗っ込んでくれた。「TOKYO Bay(東京湾)」と「駿河湾」-2つのエリアで実施されたマダイダービーがこのほど無事に終了した。それぞれ優勝者は初戴冠。記録を残した参加者だけで計180人にもなった。みなさん、また、来年の挑戦をお待ちしております。2人のチャンピオンに話を聞いた。

【駿河湾】

 久料「魚磯丸」から井上雅之さん(51=茅ケ崎市)は毎年ダービーに参加している。第1回は2013年で3匹で6・4キロ(32位)、14年は5・62キロ(32位)、15年5・38キロ(33位)、16年5・96キロ(51位)、そして昨年も参加したが、ボウズ続きで記録はなかった。

 井上さん ダービーは参加していて、順位も変わるし、気持ちも熱くなる。私はもっぱら飛び賞狙いですよ。今年は特に何を変えたわけでもないので、単純にマグレです。

 今年は3月24日に860グラムを筆頭に3匹で2・36キロ。スタート直後の、この時点で16人中5位だった。昨年の釣果ゼロとは気持ちも違い、心に余裕ができていた。そして1週間後の3月31日、5・08キロを釣り上げた。ここでトップに立った。

 井上さん 私は午後便しか乗らないんです。夕方5時ぐらいだった。これで終わりかな、と思ったら、5月26日に7・06キロと2・6キロを釣ってしまった。もう上出来ですよ。

 常に手持ちでロッドキーパーには置かない。落とし込みで食う傾向は分かっていたので、船長の指示ダナからちょっと上げて、ドラグを緩めて指で道糸を少しずつ出したらヒットした。

 井上さん 誘いがハマりました。釣ったマダイはカミさんと自分の実家に送りました。いい親孝行ができましたね。

 釣りは子どものころからやっていたが、船釣りデビューはダービーが始まる2年前だった。

 井上さん 私の船釣りの歴史はダービーとともにある。来年も楽しみにしています。

【東京湾】

 富浦「共栄丸」の船宿レコードが4月24日に記録された。藤室日出樹さん(59=八潮市)が午後便で9・65キロを釣り上げた。この日、タコボウズ記者は久料「魚磯丸」午後便で大魔神こと佐々木主浩さん(本紙評論家)のマダイ釣り取材をしていたが、「共栄丸」笹子宏宣船長から「すげえのが釣れた」と大興奮した1オクターブあがった声で着信があってすぐに切れた。現場は予想以上に熱く盛り上がっていたようだ。

 「共栄丸」は大きなマダイを釣らせる船宿として知られているが、まだ10キロ超はない。笹子船長は「もう、てっきり10キロ以上かと思った。そのぐらいのバトルだった」と振り返る。藤室さんは午前便に乗ってすでに3・35キロと3・45キロを釣っていて、ダービー初登場にして好位置につけていた。

 藤室さん 朝一発でハリス2・5号で釣り上げたんです。船中ではハリス切れなんぞもあって、まだ大きいタイがいるなぁ、と思って、午後も通しで乗りました。デカいのを想定して午後はハリス3号でやってたんです。

 午後3時ごろだった。サオ先が小さくモゾモソと動いた。合わせるとドラグが叫び声をあげて、道糸が気持ちよく出ていった。

 藤室さん 見逃してしまうぐらいのアタリ。予感がして本能的に合わせましたね。50メートルぐらい走られました。ヒロ船長がマダイの走る方向に船を向けてゆっくり操船してくれた。いや、うれしいですね。来年も参加しますよ!

 ▼マダイダービー 3月10日~5月31日が駿河湾の御前崎「博栄丸」、大井川港「海政丸」、久料「魚磯丸」、戸田「たか丸」、安良里「ふじなみ丸」、3月17日~6月3日が東京湾は久里浜「大正丸」、八景「太田屋」、勝山「宝生丸」、富浦「共栄丸」でそれぞれ開催。春の乗っ込みの大ダイ狙いで、期間内に釣り上げた3匹重量で競う。1度参加(参加費1000円で参加賞は特製保冷バッグ)したら何度でも挑戦でき、獲物の入れ替えが可能で、どの宿からも出漁できる。