東京湾 タチウオ3匹3・9キロで山田さん悲願初V

山田さんの釣った1・8キロ。太い!

<フィッシング・ルポ>

ようやく東京湾タチウオキングになれた! 22日、「2018日刊スポーツ・フィッシング・サーキット」船釣りブロックの東京湾タチウオ大会が実施され、川崎「つり幸」、八景「太田屋」、新安浦「長谷川丸」、久里浜「大正丸」の4地区から75人が参加した。4年前に50グラム差で優勝を逃し、昨年準Vだった山田拓生(たくみ)さん(34=大田区)が3匹3・9キロの断トツ釣果で悲願の初優勝を奪い取った。

つり幸に乗った山田さんにとっては、のどから手が出るほどに欲しかったタイトルだった。

メタルジグで1・8キロ(120センチ)を筆頭に1・2キロ、900グラムと大きなタチウオばかりをキャッチできた。3匹で3・9キロ。参加75人の中で飛び抜けていた。完勝だった。

山田さん 4年前に5位。2年前も5位だった。昨年は2位。ようやく、ようやく勝てました。うれしい。本当にうれしい。

4地区それぞれトップを決める。その4人で4位までの順位を決める横取り方式。つまり5位とは全体の2番手以下のトップになる。しかも2014年は優勝者が2950グラムで、山田さんは2900グラムとわずかに50グラム差だった。常にトップと肉薄する位置にいられたが、優勝から見放された。

山田さんの釣り歴は5年。決して長くない。最初は知人に誘われてヤリイカ釣りに付き合った。プラヅノが何センチで何本だったのかすら覚えていない。3匹しか乗せられなかった。その次はキハダマグロ、1匹も釣れず悔しさだけが残った。

山田さん 基本、ドMなんです。それと釣れないぐらいが楽しいんだろうな、と勝手に勘違いしていて。釣りをやめようとは思わなかった。

大田区在住。近所のいろいろな船宿に駆け込んで、江戸前の小物釣りを試した。シロギス、アジ、アナゴ…必ず何かが釣れた。「ああ、釣れる、って楽しいんだな」と、釣り本来の魅力を知った。そんなときにルアーでのタチウオ釣りに手を出した。簡単には釣れないが、その時の潮の流れや色、ルアーの動かし方などでアタリが違う奥深さを体感した。

山田さん こりゃ、面白いと思った。今回もやめちゃダメ。その代わり速巻きではタチウオがついてこないからローギアのリールで止めずに誘ったらいっぱい当たった。タチウオにルアーをしっかり見させて誘う。辛抱が大事ですね。

釣れない釣りに楽しさを見つけることができるのが強みだ。だから食ってこないタチウオとの我慢比べにも勝てる自信がある。

準優勝は長谷川丸から乗った村井一成さん(29=横須賀市)で3匹で2800グラムだった。イワシカラーのジグでヒットした。6年前の11位が最高位で「底ドン、で、もう食いついてきた。本番は弱いんですよ。今日はうまくいった」とはにかんだ。3位は太田屋からの斎藤栄さん(62=江戸川区)で「ジグを速く巻いて食ってきた。止めないのがよかったみたい」と振り返った。4位はエサ釣りの大正丸からの前山貢さん(59=北区)で「速巻きすると小さいのばかり。ゆっくり動かしてじっくりエサを見させた方が大物が当たる。エサのサバはなるべく垂らしを短くするといいかなぁ」とアドバイスをくれた。

王者しか持つことのできないクリスタルトロフィーを手に山田さんは「来年もいい勝負ができるようにしたい」と謙虚ながらも胸の内では連覇を目指す誓いを立てたようだ。【寺沢卓】