愛知・西ノ浜 米田選手悲願初V波口サラ場狙い奏功

優勝した米田選手(中央)2位の山田選手(左)3位の伊藤選手

米田和人選手(高松海岸)が石川県勢として初めてG杯を獲得した! 「第39回G杯争奪全日本がま投(キス)選手権」(主催・(株)がまかつ)が8日、愛知県田原市の渥美半島先端にある西ノ浜で行われ、地区予選を勝ち抜いた30選手(シード含む)が参加し、キスの総匹数を競った。午後0時45分からの決勝戦は6選手が1時間半戦い、開始早々から波口を攻め続けた米田選手が、山田直樹選手(福田海岸)に1匹差の9匹で逃げ切り、悲願の初優勝を成し遂げた。3位には、伊藤貴之選手(大磯海岸)が入った。

決勝戦の検量が終わり、優勝が決まった瞬間、米田選手が感極まり、目にうっすらと涙を浮かべた。所属クラブはキスの引き釣りに力を入れ、数釣りの技術を磨く石川県の手取投友会。これまでは元会長・宮本幹治さんが獲得した3位が最高で、クラブの悲願でもあるG杯の初制覇に「うれしい。感無量です」と男泣き。

昨年は初めて最終ステージまで勝ち上がるが、決勝戦の空気にのまれ、5位止まり。今年はリベンジを誓い、北陸で14年来の親交がある友人3人とともに参戦した。唯一、決勝に残るとキスを釣るたび、友人が「おーっ」と声を上げて全力サポート。「心強かった。そんな仲間からおめでとうと言われるとうるっときます」。涙で声を震わせた。

状況は台風の通過で波気と濁りがあり、キスの魚影はかなり薄く、沖はメゴチだらけ。しかも、向かい風。それでも、大半の選手が遠投を選ぶ中、米田選手はただ1人近投でスタート。1投目からキスを掛けると、遠投する選手の間を縫うようにポイントを移動し、波口のサラ場を独り占め。

潮がよれるところを見つけては、ちょい投げし、ゴトゴトと感じ始めるところ(小石底が荒くなるところ)で止め、着実にキスを手にしていった。「波口にはメゴチが少なく、うまくいった」。餌は動きのいいイシゴカイの尻尾のみ。ハリスまでこきあげ、たらしは5ミリ。濁りの中、しっかりと目立たせ、キスの食いを誘った。

残り時間が少なくっても大半の選手が0~1匹で苦戦する中、2回目の2連掛けには思わず「楽しいー」を連呼。ゾーンにはまったかのようにキスアタリを拾い、途中から、近投に切り替えて追い上げた山田選手に1匹差で逃げ切った。

表彰式では矢野勝彦審査委員長から「こんな食いが渋い状況で連掛けしたら、次も同じところを攻めるのが普通ですが、米田選手は同じポイントは攻めず、次々にサラ場を釣っていった。それが勝因ですね。手取投友会の素晴らしい釣りをみせてもらいました」と祝福のコメントが贈られた。

憧れのG杯を手にすると「この喜びをクラブのメンバー全員に伝えたい。そして、快くこの舞台に送り出してくれた妻と2人の娘に感謝です」とまたまた涙。これからはG杯覇者としてさらなる進化が問われるが「遠投も近投も磨きをかけ、どんな状況にも対応できるトーナメンターになりたい」と躍進を誓った。【近江康輔】

◆米田和人(よねだ・かずと)1974年8月15日生まれ、44歳。石川県加賀市在住、会社員。キスの引き釣り歴25年。手取投友会、石川鱚酔会所属。G杯キス本大会出場5回。ホームグラウンドは、石川県の片山津海岸、塩屋海岸。