茨城・鹿島のヒラメ 解禁早々大賑わい型も数も上々

解禁初日から4・6キロの大判をゲットした平野さん

<フィッシング・ルポ>

さあ、ヒラメのチャンス到来だ! 今月1日、茨城・鹿島で解禁となった。「第三幸栄丸」では、初日4・6キロ、2日目4・8キロ、3日目7・2キロ、4日目6・8キロと、開始早々から大判が上がっている。例年に比べて全般に型がそろっており、連日上限の10匹を記録するなど数も釣れている。初心者も腕自慢も、「釣戦」してみる価値はありますよ。

解禁初日、本命のヒラメはいきなり来た。「第三幸栄丸」の荒原康宏船長(32)がポイントに着ける。鹿島沖30メートル前後。朝6時30分の1投目からグイグイとサオを絞り込んだ。わずか30分で、1~2キロサイズを主体に8匹も上がる。エサの活イワシが食いちぎられたり、歯形をつけられるケースも多数。その後も11時半の納竿まで、中だるみはなかった。ポイントを移すと、最初の投入で乗船した27人のうち、だれかのサオが満月にしなっていた。

ヒラメが掛かるパターンはいろいろだった。通常は「ヒラメ40」。イワシをのみ込むまで時間がかかるため、アタリがあったら道糸を少しずつ送り込む。心の中でゆっくり40数える。十分にエサを食い、穂先がしなったのを見計らってアワせる。活性が高いと、仕掛けを落として底に着いた瞬間に一撃で食う。オモリを底から10~30センチほど上げてイワシを自由に泳がせ、1メートルは跳躍してエサを食べるヒラメの習性を利用した人もいた。

獲物を得られた人の9割が手持ち。ヒラメに追われて逃げるイワシの動きも含め、アタリをしっかり取れ、アワせてハリ掛かりできる手持ちの方が、置きザオよりも分があった。

圧巻は午前9時ごろ。左舷トモ(最後方)で平野和之さん(42=神奈川県逗子市)が「重い!」と叫びながら、慎重にやりとりする。穂先は海面に突き刺さったまま。ゆっくり道糸を巻き取り、タモ網に取り込まれたのはこの日最大4・6キロの大判だった。「オモリが着底して一発で食った。一昨年、鹿島で1キロサイズを1匹釣っただけ。ふだんはアユや渓流しかやらない。ハマりそう」と顔をほころばせる。これで調子に乗って、上限の10匹を釣り上げた。

終了約30分前からは入れ食い。タモが足らなくなるほどの活況ぶりだった。左舷ミヨシ(最前方)から3人目、間野暁(まの・さとる)さん(32=神奈川県綾瀬市)も10匹に。釣り仲間の松岡慶祐さん(43)、小林智さん(37)に誘われて初めてヒラメに挑んだ。1週間前から動画を見るなどして、予習したという。オモリ着底後、1メートルほど上げて誘った。「最初の2回は慌ててアワせ、すっぽ抜け。教科書通りに20~40数えて待って、食わせました。絶えずアタリがあって楽しかった」と笑顔を見せた。ルアーのシーバスや、LTアジ、コマセマダイに加え、ヒラメもレパートリーに入りそうだ。

5年連続で解禁初日に訪れている門井光雄さん(54=千葉県成田市)は3・8キロを含め9匹。「今年が1番」と満足そうだった。

荒原船長によると、「解禁当初としては上々。エサが大きかった分、良型のヒラメが掛かった。型、数とも申し分なし」という。

淡水なら「寒ブナ」「寒バヤ」、海なら「寒ブリ」「寒サバ」と、寒い時期だからこそ釣って楽しい魚がいる。ヒラメも同じ。茨城県は12月1日に全面解禁。冬本番となれば、ヒラメのシーズンも最盛期を迎える。【赤塚辰浩】

▼船 鹿島「第三幸栄丸」=【電話】0299・82・6032。ヒラメの出船は朝5時30分、餌(活イワシ)と氷・軽食付き1万2500円。