駿河湾 夜明けのタチウオ、潮温下がらず好調維持

指5本サイズの超大型。夜明けごろ釣れる

<釣りをしようよ プルルン体験隊>

深夜2時30分に集まって、夜明けの駿河湾でシャクる刀狩り-大井川港「海政丸」の早朝タチウオが冬バージョンに衣替えして好調を維持している。通常ならば、少しずつアタリが遠のく時期なのだが、今シーズンは潮温がなかなか低くならずにタチウオの活性も高いまま下がらない。初心者でも堪能できる強~い引きを味わってきた。

大井川港の集合は、午前2時30分。まっ暗だ。狙うのは闇夜にギランと光り輝くタチウオ。7月からスタートした。猛暑をくぐり抜け、10月に食い渋った期間はあったものの、11月中旬から再びアタリが日増しに多くなってきた。どうやら、夏タチから冬タチにうまいことバトンタッチができたようだ。

暗い海を切り裂いて、海政丸が吉田沖を目指す。港を出てから約30分-わずかな時間だが、波しぶきがかかることもあるので、船のキャビンに避難することをオススメしたい。ちなみにキャビン内は土足厳禁なので守ってね。

ほどなくポイントに到着する。この日は微風で波はほとんどない。狙うタナ(魚の回遊層)は海面から40メートル。リールには水深の電光表示が出るタイプのものもあるが、あまり信用しない方がいい。リールのメーカーには申し訳ないが、しょせん、機械の示すデータにしかすぎない。

道糸がPE素材ならば、10メートルごとに色分けがされていて、さらに1メートルずつ印がついていて、5メートルにはちょっと違う印になっている。糸はウソをつかない。デジタル表示はいかにも本当のことのように見えるが、1~2メートルの誤差が出るケースは少なくない。仕掛けの落ちていく確認を糸でとるクセはつけておきたいところだ。

取材をしたのは20日だった。釣りをするときにはギョサン(底面の滑りにくい漁業従事者専用サンダル)しかはかない。理由は2つあって<1>靴がきらい<2>潮の温度を皮膚ではかる。船内に海水がポンプアップされるが、ちょっとした足湯のように温かだ。望月茂樹船長に尋ねると23度台。もちろん海底の付近の温度はまだ低いし、足で感じる海水は表層付近なので、あまり参考にもならない。

ところが、だ。40メートル付近をゆっくりシャクっていたら、ギュンと重さが加わって、サオが逆U字形にしなった。慌てずに巻いてくると40センチ前後の極小サイズ。外して海に返したが、ちょっと触れた魚体は温かかった。海面から40メートルの場所もまだ冷たくなっていない。

オモリは80号で片天ビンから太めのハリス12号を2ヒロ(約3メートル)にして、ハリは3/0。駿河湾の厚みと太さのあるタチウオに合わせて、ハリスもハリも「ややゴツめ」でそろえるのが流儀なのだ。

オモリは最初80号を使用したが、潮が緩かったこともあって、60号に落としても大丈夫だった。サオもライトゲーム用の軽いタイプでいける。操作性に優れていて、軽いので手持ちでアタリを探っていても疲れない。駿河湾の夜中にシャクるタチウオでは「置きザオ釣法」が定着しているが、サオさえ置ければいいので、ガッチリしたロッドキーパーではなくても、船べりの穴に挿すサオ置きでも代用できる。

実釣では、暗い時間帯でもアタリは多かった。ただし、サイズは60センチから1メートル前後までバラバラ。空がだんだんと白んでくるころ、活性が高まってきた。でも、海面から80~100メートルの深さが主戦場となった。サゴシやアジも外道で掛かる。フグが邪魔するのがたまにキズだが、タチウオは「かなりの反応がある。大きさは選べないけど、(幅が)指7~8本もいる。今シーズンは年明けまで期待はできそうです」と望月船長は話す。

120号オモリで従来通りの釣りを選んでもいい。ルアーでも、最近では関西地区ではやっているテンヤ仕掛けでも釣れることが判明してきた。釣り方を選べる早朝タチウオ、大井川港で午前2時30分、待ってますよ。【寺沢卓】

▼宿 大井川港「海政丸」【電話】054・622・2116。早朝タチウオは、集合午前2時30分。エサは1万1000円、ルアーは1万円。ともに氷付き。