小田原・早川港 カマスをエサに8キロ超ブリを狙う

ブリが釣れれば、そりゃこの笑顔にもなります

<フィッシング・ルポ>

城下町・小田原。魚市場があるんですよ。早川漁港という。1年を通してさまざまな魚種がそろっている。冬から春になろうとするこの時期、水深200メートル超の深場では、でっけぇカマスが群れで泳いでいる。しかも、港から10分。魚はおいしい魚をよく知っている。そのカマスを狙うのがブリ…ということで、釣ったカマスを泳がせてブリをターゲットにしてみた。

水深200メートル。深海への入り口だ。さぞ早川港から走るのだろうと思いきや「弘美丸」湯川幸次船長はエンジンを緩めて、止まった。港から10分ほど。小田原の街が見える。

なだらかな大陸棚ではなく、岸近くからいきなりズドンと落ちていく。根も各所に点在していて、港から至近距離でさまざまな魚が居付いて、回遊している。小田原魚市場を抱える早川港に、多種多様な魚が水揚げされる理由はここにある。

で、4月いっぱいまで狙うことのできるカマスは今が絶頂なのだ。取材日は3月1日だった。あれ? かなり離れている。はい、その時はそんなに釣れませんでした。それが、この数日でガンガン掛かっている。

なぜだろう?

昨年11月から海は平穏な日が続いていた。風が強く吹くことがあっても、雨が降らず、大きく海が荒れることも少なかった。潮がピカピカに澄んでいた。

「わー、きれいな海」などと透明度の高い沖の状態にもしかしたら、こう歓声を上げる人もいたかもしれない。ただ、釣りにとっては、濁りがないことで、海中に漂う「仕掛け」が魚には異物に見えるだろうし、良質なエサになるプランクトンも減少する原因にもなっていた。

ここ数日、天候の乱高下と春の強風で、海にうねりが発生して、澄み渡っていた潮に濁りがさしてきた。魚の高活性を生み出す海の春がすみ。

カマス、チャンスだ。

どう釣るのか、カマス。イメージとしては、カマスの回遊する海面から150~200メートル前後に150号のオモリをぶら下げた3本のサビキ仕掛けを高速落下させて引っ掛ける。カマスの群れを通り過ぎたら、電動リールをハイスピードで巻き上げて、今度は下から群れに突っ込んでいく。濁りのある海の方がカマスの警戒心も薄らいでいくのだ。

使うハリはタチウオのルアーで使用するイカリ型フック。ぐさりと刺したいのでバーブレス(返しをつぶしたタイプのハリ先)がいいだろう。幹糸はフロロカーボン16号で間隔は1メートル、親子サルカンでつないで、枝スは同10号を20~25センチ。「こんな仕掛けは販売してないからみんな自分で結んでくる」(湯川船長)。実際に結んだが、この仕掛け作りがけっこう面白い。

今なら仕掛けを落とすたびにカマスが掛かるという。体長は40~50センチ。群れが濃ければフォールの方が掛かりはいいようだ。

このカマスだけでも満足なのに泳がせてブリを釣る。取材日は残念ながらカマスはごくわずかだった。50センチ級のサバが掛かったので、サバの泳がせとなった。

仕掛けはヒラメ仕掛けと同じ構造で「フロロ16号に親&孫バリはヒラマサ22号オモリは200号」(湯川船長)。やっと探せたのはヒラマサ20号だった。太い16号を内掛けで結んで親バリを事前につくっていた。泳がせる魚の大きさが分からなかったので、親バリから孫バリに延びるハリスは1メートルの余裕をとって、魚を見てから孫バリを結ぶことにした。予想よりもサバが大きかったので、現場で結ぶ作戦はなかなかよかった。

ただ、アタリはあったものの、サバが食いちぎられ、背掛けにした孫バリはギリギリでかわされてしまった。う~、無念、魚の方が上手だった。だが、ブリも8キロ超がうようよ泳いでいる。別船になるが70~80メートルのタナで狙うマダイの活性もぐんぐん上がってきている。北条氏の城下町、岸から近くでできる200メートル攻略、ようやく本番だ。【寺沢卓】

◆船 小田原「弘美丸」【電話】090・8682・8573。カマス→ブリ船は、午前5時30分集合で、同6時ごろに出船。料金は1万円。コマセマダイ船も出漁中。詳細は電話で問い合わせてください。